他に洗う物無いか?あったら今出しちゃってー、一度に洗った方が水勿体なくないからー。
妙に間延びした声に、バーナビーの反応は一瞬遅れた。
が、すぐに我に返る。
読んでいた新聞を放り出し、ソファーから立ち上がったバーナビーはすぐに声のする方向に小走りで向かう。
「ちょ、オジサン!洗濯物は自分でやりますから!」
「なんだー?バニーちゃん恥ずかしいのかー?」
「そ…そういうんじゃ無…あああせめて下着はやめて下さい!」
バーナビーは虎徹の手から自分の衣類を取り上げると、網に入れられたそれを片手に背を向ける。
「一度に洗った方が良くね?」
「本当にデリカシーの無い人ですね…」
「えー良いじゃん気にならないし…」
「僕が気にします!」
全く…、とブツブツ文句を言いながら下着を網から取り出し始めた相棒を見て、虎徹は人の悪い笑みを湛える。
「バニーちゃんよぉ、コレが仕事だって忘れてねぇかー?」
ピク、とまるで小動物のようにバーナビーの肩が跳ね上がるのを、虎徹は見逃さない。
虎徹はさらに距離を縮めるように、さりげなく相棒に近寄っていく。
「親睦を深めるための同居だって、忘れてんだろー?」
「……だから僕はあなたの家に居候しているじゃないですか、他に何を…、…あっ」
バーナビーの手から洗濯ネットを奪い、そのまま洗濯機に突っ込む。
「何するんですか!」
「手が滑った。バニーちゃんお昼何がいい?」
「…、…本当にあなたって人は…」
はぁ、と深く吐かれた溜息を聞かなかったことにして、虎徹は昼食を作るべくキッチンに向かった。