声を出せばすぐに誰かに気付かれる。


必死に声を抑えるバーナビーの後孔に、いきなり突き刺すのではなく、ゆっくりとにじり入っていくような動き。
指に入りこまれた場所の縁の薄い皮の部分が内側に捲れ込んでいきかけて、ゆるりと元の形に戻っていくのを待つほどの、ゆっくりとした愛撫。

虎徹は、鏡に向かい合わせに座らせたバーナビーの背後から、その動きを見せ付けるように愛撫する。
それを虎徹は勿論、バーナビーもまた見ている。

彼の蕩けた眼を意識して、虎徹は指先だけではなく腕を分かりやすく動かす。
指先の動きに合わせて、ぐり、と回される腕。

浅い場所をかき回す指、それから彼の中をごそごそと探る動き。

「あッ!」

不意にバーナビーの性器が頭を跳ね上げる。
それは基本が柔らかな肉なので、びく、と跳ねてからしばらくおかしな余韻で揺れているのを、虎徹は視線で楽しむ。

くぷりとその先から透明な滴がまた溢れだして、照明の光に照らされながらゆっくりと彼の裏筋を落ちていく。

「あああ……」

脚を開かされ、耐え難い愛撫を受けながらも両手で必死に声を押し殺そうとするバーナビーの身体は、多分もどかしさで一杯になっている。
もっと太い物を今すぐ奥まで突き刺して欲しい、と、そんな卑猥な願いではち切れそうになっているのであろう。

バーナビーの小ぶりな頭が、虎徹の肩口に凭れかかる。

そのまま、ゆっくりと指を増やされ、足を更に大きく開かされ、照明の光を鮮やかに跳ね返す白い肌を悶えさせ、首筋から仰のいてバーナビーが苦しげに頭を振った。

真白い喉に虎徹は吸いつき、くっきりとした痕をそこに残す。





遡ること数時間。
この日、虎徹とバーナビーは珍しく揃って仕事が無く、かと言ってすることも無い休日だった。

よく晴れた空の下でバーナビーは、ただ家で読書するのも何だか勿体ないような気がして、何も目的は無かったが街に出ることにした。

そんな街の雑踏の中で聞き覚えの有りすぎる声に、よぉ、と話し掛けられ、振り向くとそこにはやはり不本意ながら相棒である虎徹が立っていた。
なんですか、と無愛想に返事をすると、向こうも特に用は無く暇を持て余していたらしく、そのまま引っ張り回された。
雑貨屋、本屋、骨董屋。昼にはレストランで軽食を摂り。
目についた所を適当にまわる、そんな感じに時間を潰していた。

軽食を摂って暫く歩いた後、ふと見ると洒落た感じの服屋があった。
バーナビーはあまりファッションにこだわらないので興味を示さなかったが、虎徹が入って行ったので追って入った。

虎徹は、常日頃からバーナビーに「勿体ないからもう少しファッションにこだわれ」と言っていた。
だから容易に想像出来た事だが、虎徹はバーナビーに似合いそうな服を探し始めた。

オジサンの趣味は…と思っていたが、虎徹のファッションセンスは意外にも悪くなく、次から次へと良さそうな服を探し出した。

不意に、虎徹が一着取り出して、その服を持ったままバーナビーを試着室に連れ込んだ。
店員さんに「試着させてもらいまーす」と陽気に声を掛けてから。

試着だったら一人でできるから出ていけと言っても、手伝うから、の一点張りで出て行ってくれず、仕方なく着替えを手伝わせた。だけのはずだった。


たまに尻を触られ始め、それが、少しずつエスカレートしていき、いつの間にかこんな事態に陥っていたのだ。






「バニーちゃん」

まだ背に力を籠めて持ち堪え、虎徹に背を向けて足を開いたまま身体を後ろにいる虎徹の身体で支えている形のバーナビーの耳に、虎徹は囁く。

応じて辛うじて薄く開いた眼差しに、淫蕩に問う。
「指がいい?口がいい?」

つまりは、好きな方を選んで、それを口で言え、と。

恥ずかしさの回路に嵌ったままのバーナビーが、微かに眉を下げて、泣き出しそうな表情を晒す。

うわ言のように声もなく動く唇と、震える体で何とか答えを示そうとするのを、虎徹は気がつかぬふりをする。
言えそうで言えない言葉に、喘ぐ唇が見えた。

全ての反応を声もなく震えて晒し、バーナビーがもがく。

促すべく指を増やしてなまめかしく蠢く暖かな身体の中を探ると、吐息で喘ぐバーナビーの身体が、胸を突き出し、目を閉じ、肘を折り、崩れていく。

「……っ、……」

そうして、言葉もなく流す視線で請う仕草の婀娜っぽさ。

床に敷かれたカーペットの上に自身が座り、その上にバーナビーの身体を座らせた。
鏡の中から、真っ赤になって恥らいながら誘う眼差しが虎徹を射る。



片手を膝に掛けてバーナビーの身体を大きく押し開き、そこからも長い時間をかけてゆるゆるとうねる彼の体の奥をほぐし終わった虎徹は、己をそこに突き立てた。
指の時と同じように浅い場所から慣らしていった。

「ほら、バニーちゃんが俺のを飲み込んでるぜ、よく見ろよ」

わざと鏡を意識しながら挿入すると、羞恥からバーナビーは顔を真っ赤にして顔を逸らす。
虎徹がその背けられた顔を両手で挟み鏡に視線を戻させると、バーナビーは涙を零し始める。浅い、一番感じる部分を熱く硬いモノで攻められ、バーナビーは身悶える。
必死になって声を我慢する相棒が可愛くて、加虐心が芽生える。
断続的にそこをしつこく攻めると、バーナビーは本格的に泣き出してしまった。

「…ん、んん…っ、……ぁっ」
限界の近そうなバーナビーの様子に、虎徹は強く、殴るように前立腺を刔った。

「…ぁ、あ、…ぁぁあっ」

抑え切れなかった嬌声があがり、バーナビーは勢い良く鏡に白濁を撒き散らす。
達した瞬間の強い締め付けに、虎徹も同時に射精した。


その時だった。

「お客様、どうなさいました?」

コツコツと、やや早めのテンポで床を叩くハイヒールの音が聞こえてきた。


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