酒も交えて、少しずつ本音をぶつけ合えるようになってきて知った事が1つある。
それは、相棒であるバーナビーが、見た目によらず初心だと言うこと。

男同士で酒の入った話をすると、下ネタに行き着くのが人間というものだ。
なのに、バーナビーに対してそういう話をすると、全く反応が返って来ない、というよりこれは絶対にネタが通じていない。

この顔に体型ならば、喜んで脚を開いてくる女性だって沢山いるだろうと思うし、何より今の時代の若者ならば性的な関係を持つ女友達の1人や2人はいるものだろうと思っていた。
が、その考えは覆された。

バーナビーにそういった話を持ち掛けると、どう見ても初心なんだろうなと思わざるをえない反応しか返って来ない。
多分、性行為が何なのかさえもわかっていない。

「なぁ、バニーちゃんよ」
「…なんです?」

この日も、2人共夜が空いていたため、何となくバーに入り飲み交わしていた。
酒の入り始めたバーナビーは、「バニーちゃん」と呼ばれた事にも一々反応しなくなる程度に酔っていた。

「バニーちゃんって誰かとヤったりしてんの?」
「やる?何をです?」
「ヤってねーの?じゃあ一人で抜いてんの?」
「…抜く?」

やはり、全く通じない。
いつもなら、あぁ通じないなーと思う程度なのだが、常より酔いの回った虎徹は、普段ならしない言動に出た。

「なぁバニーちゃん、今から俺ん家来ない?」
「……?別に構いませんけど」

バーナビーも酔っていた。いつもなら怪しいと断る誘いに、何の気無しに乗ってしまう程には酔っていた。





夜風に打たれながらしばらく並んで歩き、虎徹の家に着く。
簡素な住宅の中に入り、虎徹はバーナビーをソファーに座らせた。

「何か飲む?何がいい?」
「あぁ、お構いなく」

多少酔ってるとは言えバーナビーは行儀良くソファーにちょこんと座る。
2人分の即席紅茶を用意した虎徹は、バーナビーに片方手渡し、自分もソファーに腰掛けた。

言い訳をするならば、これは抑えの効かない父性本能だ。
汚れを全く知らない息子のような彼に、性教育をさせてやりたかった、と言い換えられる。
勿論のこと、本音は単なる興味本位からの誘いだったが。

虎徹のそんな考えも知らず、バーナビーは手渡された紅茶をちびちびと口にしていた。
冷まさなかったせいか、若干猫舌な彼には熱かったようだ。

「バニーちゃん」
「………?」

両手で持ったティーカップから口は離さず、目で返事をされる。上目遣いが、とても愛おしかった。
その愛おしさに欲望を駆られ、気が付けばバーナビーの両手を掴みソファーに押し倒していた。

ゴトン、とティーカップが床に敷かれたカーペットに落ちる音が聞こえた。

「……っ、なんですか…」

問いに答える事なく、虎徹はバーナビーの両手を押さえ付けたまま彼のズボンを下着ごと一気に下ろした。


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