泣きわめく


「残夏、残夏、残夏、どうしよう。ナツコが、死んでしまったら」

嗚咽を漏らしながら、私の胸にすがる彼女をどうしよう。今にも膝から崩れ落ちて仕舞いそうな彼女をどうしたら良いのだろう。

「大丈夫、ですよ」

ナツコ様は不死でいらっしゃいますから。そう言おうとして、はたと思い出した。彼女はナツコ様が不死と云うことくらいとうの昔に知っているのだ。それを承知の上で泣き喚いて、死だのなんだのを口に乗せているのだ。

「大丈夫、ですよ。お嬢様が想っていらっしゃいますから」

だから、心にもない言葉を付け加えた。彼女が安心するならば、もう何だって構わない。唇から溢れるように耳障りの悦い言葉を囁いた。次から次へ、文字の羅列だけが彼女へと届く。私は後幾度、この行為を繰り返せばいいのだろう。ナツコ様が自殺を、真にして終う迄永遠にか。

「残夏、残夏、ああ、」

そうっと抱いた、彼女の震える双肩は酷く小さかった。













いつかの自壊
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