ああ、欝陶しい。甘い血潮の香がの鼻をつく。元就は思わず顔をしかめた。寝台から立ち上がった光秀に、袖を引かれる。つい、とわざとらしいその仕草。煩わしいとは思いながらも、振り払うことが出来ない。豪奢な衣から僅かにのぞく、気色の悪いほどに冷たいその肌はそこらの女人よりも白く、薄気味が悪い。しかし、知らず喉がなる。言いたい言葉が出て来なくて、もどかしい。その様すら見透かした様に光秀がくつくつと笑う。からかわれているような気分になり少しむっ、とした。元就は光秀の細い顎を掴むと己の方を向けさせ、唇を塞いだ。

そのまま光秀を寝台へと押し倒す。ぎ、と軋む音が耳朶に触れる。再び鼻孔を毒の香がついた。むせ返る程に甘く、夢へと誘われているような心持ちになる。光秀の咥内を舌でまさぐると、相手も舌を絡めた。相も変わらず甘い味が広がる。じゃれあう様に互いの咥内を蹂躙し、音を立てて唇を離した。どちらのものか判別の付かないねっとりとした糸が互いの唇を繋ぐ。そのか細い糸で繋がる様がまるで今の己等の関係のように思えて、元就は薄く笑った。


曖昧な海
(指で触れればたやすいと言うのに










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