大谷さんは既に死んでます。
残された病気の三成さんの話し。
関ヶ原?なにそれ美味しいの。
死ねた

以上を踏まえてどうぞ。






けほり、と喉が震え病んだ空気を外へと追いやった。ああ私は死に逝くのだ、と漠然と思う。薄い布団を剥いで、立ち上がり一、二歩進んで庭を見下ろした。音もなく積もる雪に庭が埋もれて行く様を見て胸がぎちり、と痛んだ。願わくば私もあの中へ混ぜてはくれないだろうか。白を被せられて、そっと静かに、消えていけるならそれで良い。亡き彼がまるで雪の様よ、と歌ったこの身なら溶けて行けるのではないか。縷々とした望みを込めて空に右手を翳した。

(刑部、私は)

後幾何待てば彼の元へ逝く事が赦されるのだろうか。彼が私に掛けた呪は酷く重たく、幾重にも幾重にも私をこの地へと縛り付ける。雪がひたひたと、掌に張り付いてはじゅう、と溶けて消えて行く。まるで人の一生涯の様で何とも不様に見えた。暖かさに触れて仕舞うことで、影さえも遺さずに。

(死ぬな、)

などと、何とも酷い言霊ではないか。人はいずれ黄泉道に足の裏を付ける生き物だ。何れ彼との約は破らねば為らない。破られなければ為らない。今が正にその時だ。この病んだ躯を黄泉平坂に引き擦って、望めるわけも無い蝶々の沼を目指さなくては。

「刑部、其方へ向かうぞ」

長い間震える事の無かった声帯は引き攣った様に痛かった。ふらり、倒れる様に雪に足を付ける。不思議と冷たくは無かった。ああ、彼の元に漸く逝ける。




死の背中を追い掛ける
(本当は追い掛けられていた)















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