どんなにかっこわるくても/ギン乱+修

死ねたのような。
ギンは出ないけれどギン乱と言い張ります。






疵の目立つ、彼女の細い指先から花束が放られた。真っ白なリボンに彩られた真っ白な花がゆっくりと放射線をなぞる様に宙を舞う。花束がぱさり、といとも味気無く、簡潔で、乾いた音を立てたのを確認してから、躊躇う様に口を開いた。

「乱菊さん、」

かろうじで、喉から押し出したのは彼女の名のみ。

(それは、誰の、誰の、墓なの
ですか。まさか、あの人の、あの人の墓じゃあ、無いですよね。)

そう、問うことの出来ない自分が酷く惨めだった。冷たい、身を切る様な風が彼女の柔らかな金糸を揺らす。ごう、と音を立て駆け抜けた風に乱れた髪を気にしながら彼女がゆっくりと此方を向いた。

「弔い、なのよ」

目線は下にさげた侭。何を見ているのか。ぽつり、と彼女が呟いた。

「形見も、亡骸さえも無いけれど、これは」

弔いよ。

零れる様に肉厚の唇から落ちた言葉は、何故か俺の胸に突き刺さる。何の感情も、何の感慨も持たぬ声からは、気丈に見えるその姿からは、判別はつかないけれど、彼女は今、正に、泣いている様にみえた。








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