戯言パロ 緑間と高尾と笠松


緑間「天才」
高尾「付き人」
笠松「武器職人」

緑間と高尾と笠松




「つまり笠松さんは「天才」を、一つのベクトルを全力で向く事が出来る存在だと、そう定義するんだね」
「あえて云えば、の話だ。「天才」なんて、俺からしてみれば理解の範疇外、番外編も良いところだからな」

そう、生涯不敗と語らったのはいつの事だったか。あの時の赤司は何を知っていたのか。笠松はふと、それを思い起こしていた。

「真ちゃんは、そういう奴なんですよ。彼はスタイルを持たない「天才」。確立した自分を持たないが故に、何ものにも成り代われる」
「ちょっと待てよ、「天才」なんだろう?ER3の七愚人て奴は。なのになんでその「天才」に成り代われるんだ、それは無理を通り越して無茶苦茶だ」
「先輩はこう定義したそうじゃないですか、「天才」はベクトルの大きさだと。つまりは、そう言う事なんです。先輩の言葉を借りるとするならば、真ちゃんはどの方向にもベクトルを最大出力できる「天才」なのだよ」

天才緑間真太郎の口癖を真似ていう彼は、ハンバーガーの包みをびりりと裂くと、一口かじった。高尾和成、16歳。恐らく非童貞。秀徳高校の一年生にしてスタメン。そして、凡才。

「でもね、先輩。言っておきますが、今までこんな事何て無かったんですよ。空前何ですよ。真ちゃんが一つの「天才」に為っている間にもう一つの「天才」になるなんて」

天才達の集まるキセキの世代、そのシューター。それが緑間真太郎だ。そうして、もう一つ。世界一の頭脳を集めた無比の研究機関ER3、そのトップたる、世界の解答に最も近い七名の人間。則ち七愚人。その一角を担うのが緑間真太郎と云う天才。正確には、緑間真太郎という天才に成り代わった天才。

天才、その言葉は重たい。正しく天から授かった生まれながらの特権階級。ギフテッド。後からはどうにも埋めようのない深い溝。或は高い壁。

「あれ、笠松さん、もしかして、天才に劣等感を抱いていちゃったりします?」

フライドポテトに手を伸ばす。うっすらと焦げていた。何となく苛々とする。

「あんな奴等に、劣等感なんて感じる必要ないんですよ。むしろ俺は才能なんてくだらないもの、無くて良かったと思ってますよ」
「どうしてだ?」
「だって面倒じゃないですか。才能を持ったら努力しなくちゃいけない。その点俺等凡才は、「極めなくていい」って云うのは気楽なもんですよ」

高尾は笑った。そこには何等の嫉妬も卑屈さも見受けられず。唯その特徴的な目が細められた。

「だからね、笠松先輩。七愚人然り「危険信号」然り、こっちが引け目を感じる事なんて皆無ですよ。此方が強者に為れないように、奴等強者はどう足掻いても弱者に為れないんですから……って、真ちゃんこっちこっち!!」

ハンバーガーを右手に持ち変えて、左手を高尾が降る。背後をぐるりと振り向けば見覚えのある緑髪が見えた。そいつもどうやら此方に気付いた様だった。

「全く高尾、あんな大声を出さなくても直ぐに気付いたのだよ」

眉を寄せて不機嫌そうに、天才緑間は言う。彼はサラダと野菜ジュースのみがのったトレイを置くと、高尾の横に座った。

「直接お会いするのは初めてですよね…はじめまして笠松さん…いいえ、罪口の「武器職人」さん」

ぱき、とプラスチックの容器をあけてフォークでレタスを突き刺している。彼こそが、学術の最果て、超越的存在、天才の中の天才。の、成り代わり。そんな奴といったい何を話せば良いんだか。


わかりにくかったかもなので…

緑間→伊吹かなみ
高尾→逆木深夜




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