「お前、もうすぐ受験なんだから帰って
 勉強でもしろよ」
 「やだ」

 …この餓鬼はどうしてこうも聞き分けの
 ないんだろう。こうみえても彼の通う中
 学の保健医だ。教師じゃないとしても、
 少しくらいは言うことをきくべきではな
 いのか。それに彼のことを思って言って
 いることなのだ。彼─…坂田は来年受験
 が待ち構えている中学三年生。もう時間
 はないのに、俺なんかに構って貴重な時
 間を無駄にさせるわけにはいかない。だ
 からこう、何度も何度も夏休みに入って
 からずっと俺のマンションに居座ってい
 る彼に受験勉強をさせるために帰れと言
 っているのだが。一向に言うことをきい
 てもらえない。こいつと一緒に居たくな
 いワケじゃない。むしろ、一緒に居られ
 て嬉しい。なんてこと、本人に言ったこ
 とはないが。なんていうか、ちゃんと卒
 業して、ちゃんと高校に入って欲しい。
 俺なんかのせいで彼の人生が狂うのはど
 うにかしてでも避けたい。冷たく突き放
 せばいいのに、それが出来ないのは俺の
 ことが好きだと飽きもせずに何度も告白
 してくる彼が愛おしいからなのか。中三
 の餓鬼に本気になるわけないと思ってい
 たのに、いまとなってはこれほどまで彼
 に溺れてしまっていた。けれど、そのこ
 とを伝えてはいない。今まで通りに毎日
 のように告げられる告白を素っ気なくあ
 しらいまるで興味がないというようにし
 ながらも不意打ちの口づけや自宅にくる
 ことを拒んだりはしない。思わせぶりな
 態度をみせてもなおも俺から離れないこ
 いつに俺は惚れてしまったのだろうか。
 それでも自分と彼はまだ教師と生徒。だ
 から言わなかった、のだが、もうそろそ
 ろいいだろう。なァ、坂田。お前が卒業
 したら付き合うことを考えてやってもい
 いぜ。だから、さっさと卒業しろ。

 「合格したら、褒美でも何でもくれてや
 るから、せいぜい頑張れよ」







 たまには真面目な話でも



















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