いろいろと説明された。
 誰かに拾ってもらうためにずっとあそこ
 にいただとか拾ったやつはそいつの主人
 …飼い主にならなきゃいけないだとか。
 わけのわからない一方的なことをつらつ
 らと。

 「俺はお前が…その、震えてたから連れ
 てきただけなんだよ。…しょうがなくだ
 からな。誤解すんじゃねーぞ」
 「ふーん。そいじゃ、土方さん。これか
 らどうぞよろしくお願いしますねィ。お
 世話になりやす」
 「…あ?」

 俺の必死過ぎる言い訳はスルー(いや、
 スルーされた方がいいのだが)して、コ
 イツは総悟と名乗った。そして、呼び捨
 てで構わないと付け足した。無表情で。
 …なんか、笑わないやつだな。

 それにしてもお世話になります、だなん
 てまるでここに住むような言い方…。

 「住むようなじゃなくて、住むんでさぁ
 」
 「……、何勝手なこと言ってんだてめぇ
 !誰がそんなこと許可したんだよ」
 「誰って…旦那ですけど」
 「誰だよ!はぁ…、俺にだって都合って
 モンがあるんだ。ただでさえ、ギリギリ
 の生活を送ってんのにお前みたいな餓鬼
 …しかも、猫耳生えたワケわかんねえ奴
 を養う金なんかねェんだよ」
 「それにしちゃあ、随分とご立派なマン
 ションですね。土方さんってもしかして
 格好つけ?」

 顔が引きつった。人は見かけに寄らない
 もんだな。コイツがこんな生意気なこと
 をほざく糞餓鬼だったなんて。

 「殴られてェのか、てめえは」
 「うっわ、暴力ですかィ?こんなか弱い
 子供に手ェあげるってんですか」
 「っ…」

 うるっとした瞳で見上げられる。如何に
 も、わざとらしい仕草なのだがついつい
 ひるんでしまった。なにしろ、頭には可
 愛らしい猫耳がついているし、喋らなけ
 れば下手すりゃそこらにいる女よりも端
 正な顔立ちだ。その上、上目遣いで見上
 げられちゃ誰でも躊躇する。
 でも、悪い気はしない…かもしれない。

 「何にやついてんでィ、エロ親父」
 「なっ…にやついてなんかねえよ!」

 「……俺はアンタに拾われちまったわけ
 だから、俺の主人はアンタになったんで
 す。もう俺には…土方さん。アンタしか
 頼れる奴いねェんだ」
 「……」
 「ま、駄目なら、しょうがねェですけど
 ね。アンタの言うとおり誰にだって都合
 がありやすから」
 「…」
 「それに、こんな初対面でしかも猫耳が
 生えた得体のしれない奴に住まわせてく
 れだなんて言われてはい良いですよと許
 可する人なんていやせんよね」

 独特な口調で早口にそう言うと総悟は立
 ち上がり、俺に背を向けてまだ濡れてい
 る黒いコートを手にとった。

 「いろいろとありがとうございやした。
 いきなりすいませんでしたねィ。どうか
 俺と会った記憶は消しておいてくだせェ
 。あ、シャツは近々返しますんで。そい
 じゃ、」

 悲しそうな総悟の声。
 気付いたら俺は、総悟を後ろから抱き寄
 せていた。

 「なに…すんですか。セクハラ?」

 …マジで何してんだ、俺。
 ぱっと身体を離してやると、バツが悪そ
 うに謝った。

 「…悪い」
 「…、さよなら土方さん、」

 今度こそ、玄関に向かう総悟の背中をみ
 て俺の唇は俺の意思など無視して勝手に
 言葉を紡いでいた。

 「おい」
 「、!」
 「そんな身体で外行ったらマジで風邪引
 いて、挙げ句の果てには死んじまうぞ。
 しょうがねぇから、飯くらい食わせてや
 るからよ、」

 ──今思うと、俺はもうこのときには既
 に、

 「まあ、とりあえず、飯でも食いながら
 一つしかないベッドでどうやってお前が
 寝るか考えようや」

 コイツに惚れていたのかもしれない。








 Reminisce
  (なに笑ってんですかィ)(…何でもねぇよ)
  (変なお人でさぁ)











 ぐだぐだですみませんw
 わかりづらいですが、回想です。
 最後の()が現実の二人の会話。








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