「心理テストですかぃ?」
 「はい」

 大きな瞳をぱちくりとさせる沖田さんに
 にっこりと笑みを返す。すると、沖田さ
 んの隣で新聞を読んでいた副長が面倒く
 さそうに眉をしかめている表情で顔を上
 げた。

 「そんな女みてーなくだらない事やって
 ないで刀の手入れでもしてろ」
 「いいじゃねえですか、土方さん。楽し
 そうですぜ」
 「興味ねぇ」
 「あ、もしかして土方さん、当てられち
 ゃうのが嫌なんですかィ?それとも当て
 られちゃ困る事でもあったりとか?」
 「違ぇよ。んなこと、あるわけねーだろ
 うが」
 「じゃあ出来ますよねィ。やりやしょう
 よ」

 わざとらしく、上目遣いで副長を覗き込
 む沖田さん。う、と言葉に詰まる副長に
 お願いでさぁ、と追い討ちをかけるよう
 に甘えた声で言うと顔を背けた副長が仕
 方ねぇなと溜め息混じりに言った。

 黒髪から僅かに覗く耳が赤く染まってい
 るようで、副長も仕方ないと言いながら
 も満更でもないらしい。…まあ、そりゃ
 、あんなことされれば、ね。

 「では、お二人とも。まずは目を閉じて
 ください」
 「はぁ?なんで、目ェ閉じる必要があん
 だ」
 「へいへい、良いからさっさと閉じなせ
 ェ」

 沖田さんが副長の両目を手のひらで覆い
 ながら、自分も目を閉じた。俺はそれを
 確認すると言葉を続けた。

 「次は、ろうそくを想像してください。
 何本でも良いです」

 そう言うと二人が静かになった。この二
 人は今、二人してろうそくを想像をして
 いるんだなあ、と思うとなんだか間抜け
 で笑いそうになった。

 「想像できましたか?」
 「へい」
 「……あぁ」
 「はい、目を開けていいですよ。それで
 は、お二人に質問です。ろうそくは何本
 ありましたか?」

 意外にもこういう類が好きなのか楽しそ
 うな沖田さんが先に答えた。

 「一本だけでさ。暗闇の中にでけェのが
 一本だけありやした」
 「副長はどうでしたか?」
 「…俺も一本だけだ。それ以外は何もな
 かった。つーか、あの一本しか見たくな
 かったみたいな感じだったな」
 「え、土方さんも?俺もそんな感じでし
 たぜ」

 こいつら、本当は結果をわかって言って
 るんじゃないのだろうか。
 心理テストでまで、バカップルさを見せ
 付けられるとは思いもしなかった。

 「それで、これが何なんでィ。もったい
 ぶってないでさっさと言いなせェ」

 つい呆れてしまって、暫く二人をみてし
 まっていたようで痺れを切らした沖田さ
 んが言ってきた。
 …言いたくないなあ。
 絶対、結果を言ったら…。ああ、考えた
 くもない。

 「これだけ、やらせておいて言わないだ
 なんてことあるわけねぇよなァ、山崎ィ
 」

 カチャリと刀の音がした。
 副長の瞳孔がいつも以上に開いている。
 そして、横には黒い笑みの沖田さん。脳
 がうるさいほどに警告を出している。

 これは覚悟を決めるしかない。
 とりあえず、言ったらこの場から逃亡し
 よう。二人だけの世界になる前に。







 あと、3秒









 因みに診断結果は、見えたろうそくの
 数があなたの好きなひとの数だそうです。
 バスガイドさんが、言ってたのを
 聞いてずっと土沖で書きたかった。
 私が見えたのは総悟が見えたろうそくと
 同じ光景でした。

 この文の意味?そんなものありません。








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