漆黒姫様リクエスト
 社会人×高校生



 まわりはあっという間に冬景色。ついこ
 ないだまでは、綺麗な紅葉が街を彩って
 いた筈なのに。仕事が忙しくて四季を充
 分に満喫することができない。総悟とい
 る時間も、だ。同棲しているからと言っ
 ても、最近は夜中に帰宅して朝早くに家
 を出たりすることが多くなってきた。こ
 こ数日、まともに総悟と話していない。
 それに、顔も合わせていないような気も
 する。寝顔なら、いつもみているのだが
 。気持ちよさそうに寝ているもんだから
 起こそうとは思えない。凍えるような冷
 たい風が鼻を掠る。赤くなった鼻は感覚
 が麻痺しているみたいに思える。ふるり
 と身震いすると早々と駐車場にある自分
 の車を目指して歩いた。今日は久しぶり
 に早く帰れる。と言っても多分、あの心
 性な上司の差し金なんだろうけど。同僚
 にはさんざんと言われた。働き詰めはよ
 くねえ、あの子寂しがってんじゃないの
 か、などと。なんで総悟のことを知って
 いるんだと焦って聞き返そうとしたのだ
 が同僚の馬鹿にするようなにやけ顔をみ
 ていると聞く気も失せた。あれが警察官
 の顔なんだと思うと、世も末だな。まぁ
 、高校生に手を出している俺がそんなこ
 と言えた義理じゃないのだが。

 もう何年も乗り続けている、自分の車が
 端に止められている。朝に止めたときは
 両方に車が泊まっていたはずだが、きっ
 と片方は先に帰宅したのだろう。そんな
 どうでもいいことを考えながら車に乗り
 込んだ。
 一応、総悟に連絡をいれておこうかと携
 帯を開くがやめておいた。きっと総悟は
 今日も俺は遅いと思ってるだろうからど
 うせだし、いきなり帰って驚かしてやり
 たい。多少、複雑な気持ちだが総悟の驚
 く表情や確実に言うであろう素直じゃな
 い言葉。想像してしまうと、小さく芽生
 えた悪戯心を余計に煽ってしまった。逸
 る気持ちをぐっと抑え込み愛しい恋人の
 待つ自宅へと車を走らせた。頭上のミラ
 ーに映る、しらぬ間に緩んでいた自分の
 表情に苦笑した。


 * * *


 玄関に入ると見慣れない靴があった。自
 分のものではないのは確かなので多分、
 総悟の友達のだろう。それとも、総悟の
 靴か。しかし、新しく買っただなんて総
 悟から聞いていないから、その可能性は
 ほとんど無いに等しい(と思う)。横には
 乱雑に脱ぎ捨てられた総悟の靴。片方は
 靴底が向くべき方向ではない方向に向い
 ている。毎回見る、その光景にもはや注
 意するのも面倒になりそれより自分で直
 した方が早いということがわかった。

 靴を脱ぐと総悟のと一緒に横に揃えてお
 いた。やれやれというように溜め息を洩
 らすとリビングに向かった。半透明に白
 っぽく加工されているガラスが中央に取
 り付けられいるドアの前に来たところで
 どこかで聞いたことのあるような、ない
 ようなという印象の薄い声がリビングか
 ら小さく聞こえた。確実にどこかで聞い
 たことがあるのに誰だか思い出せない。
 モヤモヤと曇る頭に顔をみればわかるの
 ではないかと、とりあえず中に入ってみ
 た。

 「、」
 「あ…」
 「ん?」

 誰だかは、一目で認識した。この地味な
 オーラが漂う人物は俺が知っている中で
 はあの二人しかいない。顔はわかった。
 しかし。─…状況が全く読めない。誰か
 、この状況を説明してくれ。何が起きた
 ?何故、総悟が同級生の山崎に、組み敷
 かれているんだ。いや、落ち着け。落ち
 着くんだ、俺。どうしてそんなに焦る必
 要がある?ただ、総悟を押し倒して顔の
 横に手をついて、いまから襲いますと言
 わんばかりな体制だけじゃないか。

 (…落ち着けるか!)

 一気に顔を真っ青にした山崎が、震えな
 がら俺を見上げた。口をパクパクとさせ
 ているが、肝心な言葉は混乱している為
 か出てこない。山崎の表情からして俺は
 まわりから言われる鬼のような形相をし
 ているんだと思う。つーか、あそこまで
 怖がらなくてもいいだろ。

 「あ、あの、ちが…」

 やっとのこと、言葉を発すことができた
 山崎が震える声で言い訳しようと片手を
 顔の前で振った。

 「たすけてくだせー、土方さーん」

 襲われるー、と総悟が棒読みでわざとら
 しく言った。しかし、山崎の態度からし
 てそういうのではなさそうだったので総
 悟のわざとらしい言葉は無視してとりあ
 えずはさっさと二人を引き離そうと一瞬
 で呆れた表情へと変えて、自分からも急
 いで離れようとしている山崎と俺の反応
 が面白くなかったのか膨れっ面の総悟に
 歩み寄ろうとした。

 それも気に入らなかった総悟が山崎の自
 分の横に置いてある片手を引っ張った。
 ─…グラリ。
 もちろんのことだが、片手だけで身体を
 支えていた山崎はバランスを崩す。俺に
 向けられていた手で咄嗟に倒れる身体を
 支えようとするも既に遅し。案の定、山
 崎は総悟の上に倒れ込む。だが、しかし
 それは山崎にとっても俺にとっても、総
 悟にとっても最悪な出来事だった。

 「危な…っ」
 「─…っあ」

 総悟からやけに艶の含んだ声が上がった
 。それに気付いた総悟はしまったという
 ように顔を真っ赤にした。総悟の弱い耳
 に山崎の唇が掠ったのだ。

 「…山崎ィイ!!」

 さっきの大人の落ち着きはどこへやら。
 額に青筋を浮かべて目の前の男に怒りを
 思い切りぶつけた。







 childish.














 漆黒姫様へ

 一応、社会人×高校生のつもりです。
 オチがないのはいつものこと←

 めっちゃくちゃ遅れてしまい申し訳あり
 ません。返品可能です。
 気に入らなければ書き直します^p^

 8000hit踏んでくださり
 ありがとうございました!












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