目の前が真っ黒になった。反射的に瞑っ
てしまった目を開くとそこには、愛する
人が真っ赤に染まって倒れていた。
「ひ、土方さんっ!!」
目を見開いて、まわりの攘夷浪士を斬り
捨てるとすぐさま駆け寄り抱き起こす。
隊服が血だらけになるのもお構いなしに
。
「総…悟、無事…か…?」
彼は自分の方が大変な状態だというのに
俺の心配なんかしてきた。
馬鹿、といつものように言ってやろうと
思ったのにいつの間に流れていたのか、
瞳から零れ落ちる涙のせいで上手く言葉
に出来なかった。
スッと手が伸びてきて、俺の頬に触れた
。
「な、に…泣いて、んだよ
…」
かすれた声でそう言われてぶわっと水分
が増加した。土方さんは胸から斜めに思
い切り斬られていて、既にヒューヒュー
と虫の息になっている。この状態の土方
さんを目の前にして泣くななんて、無理
なこと言わないでほしい。
山崎を呼びにと、立ち上がろうとしたら
グイッと腕を引かれた。もう、力も入ら
ないだろうに。
「…い、くな‥よ」
「な、ん…で、早く呼びに
行かねーと…!!」
そう言うと土方さんは、俺のほうをみて
笑った。
「!」
分かってしまった。
(ああ、この人──)
「、最期ま…で傍にいろよ、」
「あ、んた…本当に馬鹿ですね」
「うっせ、ぇよ」
「なんで…俺なんか助けたんでィ…。俺
が、あんたを、副長のあんたを護んなき
ゃなんねぇのに、」
「……恋人、護んの、当たり前だろ。お
前に、死なれ、たら…俺が困んだよ」
「っ…、あんたなんか、大嫌いでさ」
「…知って、る」
「、」
「…そう、ご、」
ねえ、約束をしようか
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