アクセル・RO
2016/03/01 02:47


「好きよ、アクセル・・・。
私は貴方のことが、とても、好きよ・・・。」

柔らかく纏まった双方のガラス玉から雫を零しながら目の前のヤツはそう語り出した。
なにがそれ程までに哀しいのか。
口を曲げずにいつもの表情で、ぽとりぽとりと涙を流し、俺へ直接寄り添って来るのだ。
熱の籠ったそれに触れる度に早く俺から離れれば良いものを、と口に出したくなるのをずっと堪えるのだ。
長い睫毛に乗った一雫を指で掬いながらもそんな事を今日も思う。
泣き顔なんぞ、見飽きてしまった。
出会った頃から泣いてばかりのコイツはいつもそんな告白紛いの本音を口に出す。
そう想いを告げるのならば一層の事笑い去ってしまえば、と幾度となく思って来た。
憐れで仕方がない。
俺のことが好きなのだと。
悲哀を込めて言われる毎に砕け散る俺の気持ちをコイツは考えた事が果たしてあるのだろうか。
俺もそうやってお前を傷付けてやろうか。
そうすれば、お前との距離ももう少し縮まってくれるのだろうか。

「泣くな。」

腕の中へ収めながらも頭を撫でてやる。
必死に俺の背へと腕を回してくる相手の腕は恐ろしく細かった。
いつも触れているのにも関わらず、こんな些細な事を知る為にはお互いが未熟な形にならねば分からないなどと、実に愚かしさの極みであったのだ。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -