アクセル・RO
2016/02/01 02:36


朝日の光が瞼を透かす。
ゆっくりと目を開けて隣を見るとやはりアクセルはいない。
今日は寝過ぎたのかもしれない、とまだ眠気が残る頭をそのままに起き上がろうとシーツを捲ろうとすれば部屋のドアが開かれた。
この家には私含め二人しかいないから誰が入って来たのかなんて愚問だ。

「あけましておめでとう。」

「さっさと起きろ。」

足音が近付いて来たと思えば頭に手を置かれた。
昨日私が寝る前に手を繋いでいいか聞いたから子供扱いしているのだと思う。
だからと言って怒りが込み上げて来る訳ではないのだけれど、頭を撫でられるのは別に嫌いではない。
ただ、頭を撫でるのであれば髪を整えてから触ってほしかった。

「朝ごはんどうする?」

「なんでも。」

いつもの返答に笑みが零れる。
年が明けたからと言ってアクセルが変わっている訳ではなかった嬉しさから来る表情である。
今年ものんびり生きていこうか。
出来れば貴方と共に。

「髪。」

起き上がってシーツを整えていれば一向に部屋を出て行かなかったアクセルが唐突に嘯いた。
また髪が大変な事になっているのをからかう為に口を開いたのだろうかと思い、聞き返してみるが返ってこない。
首を傾げてアクセルに向き合った。

「なに?」

「・・・結ってもいいか。」

「私の髪?」

「お前以外に誰がいるんだ。」

バカでも見るような視線を浴びるが気にはしない。
そうか、今日のアクセルは私の髪を結んでくれるらしい。
・・・なんだか嬉しいことが立て続けに起きる朝だ。
新年早々こんなに幸福で良いのだろうか。
私ばかり狡くはないだろうか。
そう思ってしまう程今が幸福である。

「あら、じゃあお願いしようかな。」

「お前よりは上手くはないがな。」

そう言いつつ丁寧に三つ編みにしてくれたアクセルは器用で、結び終わった後も頭を撫でてくれた。
ごはんぐらいは豪勢にしなければならない。
1月1日の私の心は晴れやかに始まった。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -