ブラックモア
2016/02/01 02:17


恥の多い生涯を送ってきました。
それは時に残酷で、時にみすぼらしいものでした。
実の父親に母を殺され、付き合っていた男の子に殺されかけ、担任の先生には犯されそうになり、そして、職場のマスターには暴力を振るわれてきました。
その痛みに耐え、耐え抜いて、一人で涙を零す毎日を送ってきました。
孤独だったのです。
寂しかったのです。
雨に濡れ、震える身体を抱き締めて痛みを我慢していたのです。
自分が壊れそうな程におかしくなっていくのが目に見えて分かりました。
もう死んでしまおうか、そんな思いも立ち込めた頃に貴方が現れたのです。
雨が私を打つその場所に傘を傾けてくれたのは貴方だったのです。
傘に跳ね返り、落ちるその残響が心地良く私達二人を包んだのを決して私は忘れません。
忘れたなら、この歳になってまで貴方の元へ逝こうとは思わなかったでしょう。
だから、せめてこれだけは言わせてください。

「こんなになってしまった私でも、貴方は私を愛してくれますか?」





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