アクセル・RO
2016/02/01 01:58


「狼さん。狼さんは私を食べないんですか?」

ふわり、と軽い口調で唱えたその言葉に数日もの間獲物が入っていない腹が震えた。
今すぐ食ってしまってもいい。
しかし、食ってしまえば勿体無い。

「死にたいのか。」

「だって家に戻ったところで良いことなんてありはしないもの。
おばあさんのとこへ行っても邪険に扱われてしまうだけだもの。
それだったら狼さんのお腹を満たすことで役に立った方が有意義で人間出来てるから。」

なんでもない風にそう言い退けたこの女は顔色一つ変えない。
肝が据わっているというより憐れそのものだ。





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