アクセル・RO
2016/01/29 13:45


仕事から帰って来た途端、珍しくアイツがいなかった。
気になりはしたが今日はもう泥のように疲れ、眠気に襲われ、で早々にシャワーも浴びず寝床へと身を預けた訳だが、次に目を覚ました瞬間の体の違和感と若干の重みには顔を顰める他なかった。
目の前には髪を解き、頬を上気させた同居人が正しく俺の腹の上へとへたり込んでいたのだ。
しかも状態は前のめりで、俺の手首を握り掴んでいる。
一体どういう事なのか。
あまり見ないその表情に更に眉間が寄る。

「アクセル、綺麗ね。」

「・・・嬉しくはない。」

途端に投げかけられた言葉の意味にため息を吐きながら、俺の手首を抑える手を解く。
一瞬ぐらついて来たその聖女の腰に手を回し、固定しながらもう一度横になった。
共に倒れてくるソイツを抱き寄せると、ふわり香ってきたアルコールの匂いに思わず怪奇な顔をしてしまったのはなにも悪いことではあるまい。
しかし、一人で飲むなんて珍しいこともあるものだと感心もした。

「飲んだな。」

「飲みました。」

「飲み過ぎるなと言わなかったか。」

そう問うても返事は返らず、変わりに聞こえてきたのは規則正しい寝息だけだった。
起きたら問い詰めなければならない。
それだけの使命感を持って未だこびり付く眠気を払い落とすべく、俺も目を閉じた。





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