アクセル・RO
2016/01/28 14:32


人は時計に似ていると常々思っていた。
壊れたら動くことのない、ただそれだけの違いであると今でも思う。
だから私はあの日から秒針が止まったままだ。
まだ生きているというのに成長というものが進まない。
側から見れば気味が悪いのかもしれない。
あの日から何年も経っているというのに、見た目に変化は決してないのだ。

「気持ち悪い?」

そう問えばなにを言っているのか分からないとでもいうような顔をされてしまった。
仕方がないのかもしれないが、それでも時間の限りに老いてはくれない精神の異常を他人がどう思っているのか知りたくなるのはいけないことだろうか。
気になっていたものの、聞いていなかったことを思い出しそう問いかけたのだが、どうもアクセルには私のことはどうでもいいらしい。
しかめ面が更に濃くなっていた。

「俺の応えを求めたいのか。」

「アクセルの意見と客観的に見た見解。」

沈黙が訪れた短い距離に緊張感とは言えない、また別の空気が張り詰めている。
それを掻い潜りながら放たれたアクセルのため息は私の脳を横切っていった。
呆れられている。
だからと言って不満や後悔はありはしない。
私への真実が先であった。

「正直に言えば気味が悪い。」

私の正面から立ち去るアクセルの背中を見やる。
アクセルの本心なのか、はたまた別の誰かの答え合わせなのかは分からない。
だが、これでまた私の秒針が掻き混ぜられたことは確かだった。





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