DIO
2015/12/27 00:36


突拍子もなく現れた空間。
辺りを見渡すと腐れ縁が既に立っており、行動している。
真っ白に塗りたくられたこの正方形を思わせる非現実的な部屋は明らかになにか異質である。
誰かのスタンド能力である事は確かだが、一体全体何故この腐れ縁と閉じ込められているのかが甚だ疑問だ。

「状況は?」

ヤケに声音が響くのが厭らしい。
この能力を使うスタンド使いをこの目で見てみたいものだ、と私もDIOに倣って立ち上がった。

「ある条件を満たさない限り外には出られないらしい。」

「条件?」

「そこに書かれている。」

顎で指し示されたところを覗いてみると壁に、まるで彫刻でも彫ったかのように鮮烈な丸みを帯びた文字が描かれていた。
読んでみると「どちらか一方の舌を噛みちぎらないと外には出られない」のだと言う。
DIOに一瞬視線を寄越してみたが、表情に変化はない。
嫌な汗が滴り落ちるが、これは仕方のないことなのだと自分を戒める。

「私を殺す?」

「殺しはしない。
舌を噛むだけだ。」

言い終えた瞬間、喉を掴まれ床に勢いをつけ倒される衝撃で頭を打った。
脳震盪を起こし、視界がグラグラと揺れる中、DIOは懐からナイフを取り出したのを震える目で捉える。
なにをするのか、定まらない思考で推定しようとすれば頭に刺さる鋭さには声が出ない程の鈍痛だ。

「固定だ。
更に動こうとすれば痛みが重なるぞ。」

酸素に伸ばす舌に歯を突き立てられる。
ギチギチと音を鳴らしていた私の舌を縺れさせる事なく、綺麗にぶちんと切り落とされた。
出血の酷い頭部に加えて口内の軽みも尋常ではない。
薄暗くなる目の前のDIOは不適にも笑みを見せていた。

「お前も後から私に続けよ。」

ナイフを引き抜かれてからは意識がなかった。
ただ、元に戻った時には頭痛と吐き気を携えており、とにかくDIOを一発でも殴らないと気が済まなかった。





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