ギアッチョ
2015/09/16 22:28


アジトにある部屋の片隅で膝を抱えて眠っている姿を見かけてしまった。
スカートの中身が見えるぞ、と口にしないまま抱えてはソファへと運ぶ手助けをする。
相変わらず起きないコイツは未だ寝息を立てて夢を見る。
寝る子は育つというが、全くの迷信だと青筋が浮かぶが感情を抑えろと唇を噛み締めた。
脳内子供である今俺の腕の中で眠るヤツを見下ろしながら息を吸って言い散らしたい言葉を留めるが、いつまで我慢出来るだろうか。
辿り着いたソファへ一緒に腰を下ろすと、また膝を折り畳んでしまい眠りを続行させる。
小さい頃から縮こまっている方が安心するのだと本人が言っていたのを聞いたことがある。
まだ過去に縛られてるんじゃねぇか、とまた眉間にシワが寄った。
モヤモヤと晴れない気持ちが胸中を占める。
面倒くせぇ。
頭を掻き毟ってその気持ちを晴らそうとするが、全く微動だにせず舌打ちが出た。
なんなんだ、噛み締めた唇からギリギリと音が飛び出るのと同時に漸くと言っていい程相手の起きる合図の手が動き始めた。
さっさと目を開けろ、何処にもいけないセリフをひたすら飲み込み続けた。

「あっ、ギアッチョおはようございます〜。
お腹空きました〜。」

「開口一番がそれかアホ!!!!!」

頭にチョップを落とす。
押し潰されたカエルのような鳴き声を溢れさせるコイツの頬を思い切り引っ張った。
よく伸びる頬に赤みが灯るが俺は気にしない。

「いひゃいいひゃいいひゃいいひゃい!!!
ふぉっへ!!ふぉっへいひゃい!!!」

「俺の気持ちも知らないこのアホ面呑気野郎がアアアァァァァ!!!」

「なんひぇおふぉっへるふぉ!!??」

気が済むまで引っ張り続けること数分。
この部屋へ入って来たイルーゾォが関わりたくないという表情で戸を閉めたり、騒ぎを聞き付けたメローネが爛々とした目付きで話に入って来たのを、更にシワが深くしながら殴り抜けたら少しモヤモヤが晴れた。
腑に落ちないが、今回はこれで良しとしよう。
怒りを身にまとった拳でメローネを殴り抜ける。
「ベネッ!!」と鳴き声を上げたのは聞かなかったことにした。





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