メローネ
2015/09/08 22:25


「結婚しないか。」

とある喫茶店の角のテーブルでそんなセリフを言われた。
コッパを頬張りながら取り敢えず変態を、目を半分だけ開けて見つめた。
この変態は一体全体なにを言っているのか。
地球の男共はこんなにも面倒くさい性格をしているのか、とため息を吐いた。

「なに言ってるんですか先輩。」

「俺はこう思うんだよ。
付き合っていてもいずれ本性が出て二人にズレが生じ破局するだろう?
それならばいっそのこと結婚して付き合っていない分、離婚するまでの時間を共にしようじゃあないか。」

「わー、離婚するの前提なんですねー。
というかまず付き合ってないし、私は地球人と結婚する気もないので結構です。」

乾いた笑いを含ませて変態へと返す。
これが地球人の否定の仕方である、とどこかの本で読んだことがあるから間違いではないだろう。
相手の誘いを断る時は分かりやすく、且つ迅速に率直に言った方が相手はすっぱりと諦めてくれるのだと。
これでこの変態も私のことを追いかけ回すことを、せめて頻度だけでも減らしてくれることを願う他ない。

「俺と結婚してくれたら毎日でもコッパを食わせてやるのになぁ・・・。」

ぽつりと零す変態のセリフが耳の中へと入り、脳に到達するのと同時にぴくりと指が動く。
この変態、物で釣ってきやがった。
コイツには誇りというものがないのか。
しかし、目的の為なら手段を選ばないのが人間というもの。
これも本で読んだ知識だが、宇宙人である私には通用しないぞ!と勢い良く席を立ち、大声を張り上げた。

「バカにするのも大概にしてくださいよ!
宇宙人をコッパ如きで誘おうなど甘いんですよ!!
誰が先輩と結婚なんてするもんかあぁぁ!!!」

「うん、まずは口から出てるものを仕舞ってその言葉を言おうか。」

いつの間にか垂れていたヨダレに気付き自分を戒めるも、コッパの存在に囚われ続け頭をひどく抱えたのは信じたくない事実だった。
ニコニコと笑う変態にもう一度結婚のお断りを口にしたが、未だに諦める気はないらしくその後も変態に纏わり付かれたのには正直、現実逃避したい。





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