メローネ
2015/08/22 00:29


「なんていう格好をしているんだい?」

久しぶりに会った彼女は服がビリビリに破けており、肌が大幅に露出している。
いつもならば「この地球の太陽に慣れるまで肌は極力出しません。」と言いつつ服はガッチリと着込んでいた自称宇宙人の彼女にしては珍しかったし、ファッションと言えばファッションだった。
だから昼でも薄暗い路地裏に何故か男三人と一緒にいた彼女に聞いてみたのだが・・・。

「状況考えてくださいよ先輩。」

「あ、やっぱりそういう感じ?」

「どういう感じ?
助けるなら助けてくださいよ。
おっぱい触らせてあげますから。」

組み敷かれている彼女は目で訴えてくる。
男達三人は俺と彼女を交互に見ながらなんだか不思議そうに首を傾げては手に持ったナイフを爛々と光らせた。
彼女を無理矢理にでも犯そうとしたのだろう。
その瞬間に俺が通りかかった訳だ。
なるほど。
解決。

「胸はいいからこの後コッパでも奢らせてよ。」

彼女を放って俺に向かって襲いかかって来るなんとなく小汚い男三人。
男には興味がないんだよな今は。
残念だけど、と任務帰りの俺には男三人を相手にするのなんて簡単なことだった。



「状況分かってたでしょ。
と言うか任務帰りだったんですか。
ベイビーフェイスなんてすぐに出しちゃって。」

不満な表情をさせながらも立ち上がり、もう意味のない服を叩きながら俺へと歩いて来る様は可愛らしい。
やっぱり野郎より今ゾッコン中の彼女の方が良い。
一緒にいて飽きないからだ。

「いや、ちょっと混乱しててね。
でも君が無事なら俺はそれでいいよ。
怪我ないよね?」

「ありませんよ。
先輩こそ、さっきの口約束守ってくださいよね。
コッパ奢ってくれるやつ。」

「いいよ安いものだし。」

そう言えば目を輝かせる彼女。
俺より低い背を伸ばして喜ぶ彼女を見ていると和む。
普通の女の子のようで微笑ましい。
可愛い可愛いと思っていれば服をつままれていることに気付かされて耳を傾けた。
一切俺に触れてこようとしない姿勢もまた可愛らしい。

「早く行きましょうよ。」

「ん?」

「だから、早くコッパ食べに行きましょうよ。」

横たわる男達を無視しながら歩いて行く彼女にまた疑問文を投げかける。
状況にこだわる彼女が自分の状況にこだわらないのは俺が提案したコッパのせいなのか、そういう性格なのかは分からない。
ただ、その格好で街にでも出れば明らかに人目に付くだろう。
それだけは阻止せねばと手を伸ばして彼女の肩を掴んだ。

「服は?」

「なに言ってるんですか。
先輩の方こそなんとかしてくださいよ。」

「いやこれはファッションだから。
君のは引き裂かれた後だろう?
太陽も出てるのに・・・。
肌に悪いし、まず個人的他人に君の際どい肌を見られるのはいけすかない。」

「ワガママですねー。
じゃあいいです。
一度私の家に行きましょう。」

そして何事もなく進んで行く彼女は肝が据わっているのか違うのか。
まぁ、その肌を隠してくれるに違いはないからほっ、と一安心する。
取り敢えず良かった。
彼女も恥ずかしい気持ちを持っていれば良いのだが、これから初めて訪れる彼女の家に期待せずにはいられない事実が上るから気にはしない。
任務の報告書もそっちのけにして胸を高らかに舞い上がらせたのは恐らく彼女は気付いていることだろう。





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