ヴァニラ・アイス
2015/07/21 10:02


「あの、お泊まりに、来ました・・・。」

夜にノックの音が転がり開けてみると、私のシャツを一枚だけ身につけてはそう言ってきた彼女が立っていた。
今の状況が恥ずかしいのか、真っ赤に染まる頬を一撫でして部屋に入るよう指示すると遠慮がちに踏み出される一歩。
別にここに来るのは初めてではないだろうに。
言わずに愛おしくなって思わず抱き寄せた。

「自室から私の部屋までその格好で来たのか?」

「はっ、い、でも、先程誰もいなかったですし、朝は私しか出歩かないので、いいかな、と、思ったんですが・・・。」

ダメでした?と私を見上げるその姿をそのままベッドの上に乗せる。
今日は残念だが、私も眠い。
大人しく寝るとしよう。

「あの、ヴァニラさん、それで折り入ってお願いがあります。」

「なんだ。」

「前のお約束の、えっと、う、腕まくらを、と・・・。」

湯気が出るのではないかというほどに更に赤く染め上げる顔。
可愛すぎて目蓋にキスを一つ送る。
ベッドへ体を倒して片腕を広げた。
その上に「失礼します。」と小さな頭が乗り、するりと近づいて来る。
あぁ、愛らしい。

「重くないですか?」

「全く。」

そう返せば、嬉しそうに微笑む彼女を余った腕で包み込んだ。
彼女の暖かみが香る。

「あの、おやすみなさい。」

「あぁ、おやすみ。」

そしてすっ、と眠る彼女に早いなと思う。
寝顔を見つめ、私も寝るかと目を閉じた。





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