マジェント
2015/05/18 03:17
「暇だから抱き付いていい?」
もうすっかり見慣れてしまったメガネ姿を見てそんな一言を投げかけてみる。
視線を本から上げたかと思えば、まあ不快な顔を全面的に出している。
当然と言えば当然だが心が折れた。
「誠意を込めろ。」
「癒しが欲しいので抱きしめさせてください。」
「よしいいだろう。」
「いいのかよ!
ありがとうございます!!」
そうして腕を広げて待っている律儀さには感謝の念しか生まれない。
たまに受け入れるところが妙に抜けている。
大丈夫だろうか。
少しコイツの将来が心配だが、しかし俺は癒しが欲しいのでそのまま腕を背に回す。
「あぁ〜、柔らけェ〜。」
胸も勿論のことながら、もう全体的に柔らかくて気持ちが良い。
ずっとこうしていたい気持ちになる。
相手も腕を回しているのもあり、より一層離れ難かった。
そんな癒しを十分に満喫しているとふと思う。
これは今案外良い雰囲気なのではないだろうか。
男女がお互い同意の上で抱き合っているのだからそうに違いない、と満更でもなく感じているとまたここでその雰囲気を打ち壊される一言を発せられてしまった。
「ふふふ、今貴様の命は私の手の中にあるぞ。」
「ちょっと、マジで本当に台無しなこと言うなよ!!」
一体コイツの神経はどうなっているのかが気になった。