俺にゃ心に決めた女がいる。 だが、あいつの眼中には俺はいねぇ。 気づいたのは最近だったが、名前と総悟はやたらとよく話しているみてぇだ。 無理もねぇ話だ。 あいつらは昔から仲がいいみてぇだからよ。 『総悟、いるか?』 ちと用があって、総悟の部屋の襖を開けた。 そこには見たくもねぇ光景。 名前と総悟が楽しそうに話してる途中だった。 「土方さん、邪魔せんでくだせェ」 「ちょっと、総悟!勘違いされるような言い方しないでよ」 こんなもん見て、どこをどう勘違いすんだよ。 『悪ぃ。別に急ぎじゃねーし、気が済んだら…』 そう告げて、俺は踵を返し立ち去る。 つい謝っちまった。 俺らしくねぇな、まったく…。 仕方ねぇけどさ。 あんなもん見ちまったら、さすがの俺でも余裕なんざなくなっちまうよ。 「十四郎さん、待ってください」 『………』 無視してぇ訳じゃねぇけど、素直に立ち止まることはできなかった。 俺にだってプライドっつーもんもあんだよ。 そんなことを思って自室に向かい足を進めていると、不意に袖を引っ張られる。 「待ってって言ったの、聞こえませんでした?」 俺は振り返らずに答える。 『離せよ』 「離しません」 聞き分けのねぇ奴だ。 そんなとこにも、俺は惚れたんだがな。 でもな、それとこれとは話が別だ。 お前らの邪魔をする気はねぇよ。 『総悟んとこ戻れよ』 「嫌です」 『なんでだよ…。俺ァただ…惚れた女にゃ幸せになってほしいだけなんだ』 「じゃあ、十四郎さんが幸せにしてください」 …は? 何言ってやがんだ。 お前が好きなのは総悟だろ…。 「わたしが惚れたのは十四郎さんなんですから」 思わず振り返る。 目が合った名前は、にこっと笑う。 「責任取ってくださいね」 『…無理だ。刀振り回してる俺は、いつ死ぬかもわかんねぇ。お前を幸せにできる自信なんて、これっぽっちも持ち合わせてねぇんだよ』 「ほんと、どこまでも頑固なんですね」 『あぁ?俺は本気で…』 「わたしは十四郎さんの側に居られるだけで、十分幸せです」 …言ってくれるじゃねぇか。 必死にこらえてみるが、自然と頬が緩む。 「そうやって、笑ってくれるだけで幸せなんです」 そう言ってまた笑う名前を、思わず抱きしめる。 『名前…』 「はい」 『好きだ』 「はい」 惚れさせた責任 お前の前だけは、いつでも笑ってやるよ。 銀魂、トシ初書きです。 銀魂のかっこいい回だけ、友達に漫画借りまして、荒ぶった感情をここにぶつけさせていただきましたw 名前ちゃんのポジションとか、いろいろツッコミどころ満載ですが、世界観を知らないんで許してやってください← そんなんで書くなよって話なんですが、それでこそ僕クオリティですのでw 閲覧ありがとうございました。 ちなみに、名前ちゃんは総悟に恋の相談してただけです。 2012.2.11 |