俺の好きな人は、どこかちょっと抜けとる。 そんなとこもかわええけど、見てるこっちは気が気でない。 せやから、目ぇ離せんくなったんかもしれんけど。 「名前ちゃーん!」 「わわっ、金ちゃん。いきなし抱きついたらびっくりするやろー」 「今日も、わい練習頑張るさかいちゃんと見といてや」 「うん」 ちょっと金ちゃん離れんかい。 年下やからって許されへんで? 「金ちゃん離れーや。そこは俺の場所やで」 「謙也くん?!」 なに、どさくさに紛れて抱きついとんねん。 どいつもこいつもほんまに…。 『練習始めんで』 アホ2人を名前から引っ剥がして、引きずって連れて行く。 横目で名前を見ると、はははと小さく笑っていた。 そないな顔、簡単に人に見せたらアカンで。 俺みたいに惚れる奴が出てきてまうやんか。 その言葉を呑み込み、名前に指示をする。 『名字さん、アップ終わったらサーブ練習するし、テニスボール出しといてくれへんか?』 「わかりました。すぐ準備します」 「お疲れさんしたー」 今日の練習も終わって、みんな帰ってく。 そんな中金ちゃんたちは、名前の邪魔しとる。 まぁ、喋ってるだけやねんけど、気に食わん。 『お前らさっさと帰れ』 「はいはい、帰らせていただきます」 「白石のケチー」 『なんやて、金ちゃん』 「毒手だけは堪忍やー」 「名前ちゃん、お疲れ」 「名前ちゃんバイバーイ」 「お疲れさま。バイバイ」 2人はそそくさと帰る。 逃げ足だけは早いんやから。 やっと名前と2人きりや…って、俺は何を考えてんねん! 『あと、何残ってんの?』 「えっと、ボールが壊れてへんか調べて終わりです」 『そうか。ほな、さっさと終わらせて帰ろか』 「え、そんなんいいですよ。わたしの仕事ですし」 『そんなん気にせんでええよ』 「でも…」 俺がもうちょっと一緒にいたいだけやし。 俺らは喋りながらボールの破損を調べる。 『なぁ、名字さんて好きな人とかおんの?』 「ふぇ?」 『なんやその反応』 「す、すみません。いきなしやって、ちょっとびっくりして…」 俺もなんでこんな質問してしもたんか、自分自身びっくりしてるんやけどな。 そうはゆうても、止まらへん。 『ほんで、どないなん?』 「せ、先輩はどうなんですか?」 『俺は…おるよ』 「そうなんですか…。先輩はモテますし、好かれてる人は幸せですね」 せやけど、好きな人に好かれな意味ないっちゅー話や。 『名字さんやっても幸せか?』 「はい、そりゃもちろん……あ…///」 『それって、俺のこと好いてくれとるってこと?』 嬉しさの余り、名前に詰め寄る。 名前は顔を真っ赤にした。 ほんまかわええ。 「え、あの、えっと…すみません」 『なんで謝るん?』 「わたしなんかが…先輩を好きやなんて、迷惑なだけですし…。せやから、応援くらいはさしてくだ……っ」 名前が最後まで言う前に、抱き寄せて唇を塞いだ。 そないな言葉聞きたくなかったんや。 「す、好きでもない人にそんなこ……っ」 もう1度唇を重ねる。 『俺は名前が好きや。さすがに好きでもない人とキスなんてできひんわ』 「ほんまですか…?」 『俺が嘘つける人間に見えるか?』 「はい」 嬉しそうな、恥ずかしそうな顔で笑いかけてくる。 『そんなことゆう口は俺が塞いだる』 そう言って、唇を合わせた。 今度は甘くてとろけてまうようなキスを心ゆくまで…。 甘い罠 これからは、俺のことしか考えられへんようにしたるさかいな。 …覚悟しときや? にゃはー。 蔵りんイケメンw ま、僕はリョーマ派ですが← 友達が蔵りんにめっちゃハマってはるんで、書いてみました。 どうでしょうか? また、感想聞かせてねー☆ 甘ったるい小説にお付き合いいただき、ありがとうございました。 2012.2.19 |