今日って、俺の誕生日で合うとるよな? 間違うてないよな? …やのに、なんでみんな普段と変わらんのや。 朝から誰1人おめでとう言うてこーへんぞ。 もしかして、忘れてしもてるんか? それとも、俺の誕生日なんかどうでもえぇんやろか…。 俺は我慢できんくなって、片っ端から声をかける。 『柔兄!今日は何の日か知っとるか?』 「今日?何かあったか?」 『…名前。今日は何の日やと思う?』 「今日?…あぁ!!今日や」 おぉ!! 名前は覚えとってくれたんか! そら彼女が彼氏の誕生日忘れる訳…。 「金兄おーきに」 『は?』 「今日から安売り始まるん、すっかり忘れとったわ」 名前の言葉に肩を落とす。 「金兄ー」 もう廉造でもえぇから、頼むわ。 誰か祝ってくれや。 「寝癖ついとんで」 …なんでなん? ほんまに忘れてしもたん? さすがに悲しなって、1人で散歩に出かけることにした。 ふらふらしとったら、いつの間にか日は暮れかけていた。 今日とゆう日が、何もなかったかのよぉに終わんのか…。 そう思った時、俺の携帯がなる。 着信画面には名前とゆう文字。 『もしもし…』 「金兄どこ居んの?」 『どこやろな』 俺は誰にも祝ってもらえんかったことで拗ねていた。 せやから、居場所を教える気にはならんかった。 「河原なんかで何しとんの?」 名前の質問が変わる。 なんで俺の居るとこ知っと…冷たっ。 「金兄帰んで」 名前は俺の頬を後ろから両手で挟みながら言う。 『名前、手ぇ冷たいねん』 「そう?自分じゃ全然わからんわ」 よぉ見たら、こんな寒空の下マフラーも手袋もしとらん。 ずっと探してくれとったんか…? 自分のことしか考えてへんかったことが申し訳なくなった。 『ほれ』 俺は名前に手を差し出す。 「え?何?」 何のことかわかっとらん様子。 『手ぇ』 「あぁ、はい。これでえぇか?」 ほんま冷たい手。 手袋くらいつけとけ…あほ。 「よし、ほな帰ろか。…てか、そない拗ねとったんやな」 『別に拗ねてなんか…っ』 いきなし、名前に手を引っ張られる。 そして、頬には柔かい感触。 一瞬何が起こったんかわからんかった。 「誕生日おめでと」 名前に耳元で囁かれる。 『え?』 「早よ機嫌直してや。あと、先におめでとぉ言うたこと、みんなに言うたらあかんで。やないと、プレゼントあげへんしな」 そう言って、俺の前を歩く。 今ので十分やっちゅーねん/// さっきまでめっちゃ冷たかった名前の手が、少し温かくなった気がした。 サプライズ 「「Happy birthday!!」」 扉をあけるとクラッカーが鳴り響く。 「金兄帰ってきたし、早よケーキ食お」 「アホ。ご飯食べてからに決まっとるやろ。…廉造準備手伝うて」 名前と廉造は奥へ入って行く。 「…金造、今日はすまんかった。隠さなあかん思て必死やったんや。堪忍な」 『おぅ。もうえぇ』 ほんま…不器用な奴らばっかやで。 金兄誕生日おめでとーっつ♪ 今日友達に言われるまで、実は忘れてました← 前半金兄可哀想やけど、まあ気にせんとw 2011.11.17 |