今日は金造がやってるバンドのライブ。 単独ライブってやつですわ。 いつの間にかこんな人気なって…。 そら嬉しいよ? でも、ちょっと寂しい…かも…。 そんなこと口が避けても金造に言われへんけどな。 「あ!!名前来てくれたんや」 『よぉ言うわ。来てくれ言うたん自分やん』 「悪い悪い。今日新曲披露するから、来て欲しかったんや」 金造は、そう言って嬉しそうにくしゃっと笑う。 まぁ、あたしが1回もライブに居らんかったこともないんやけどさ。 『周り人集まりだしたし、裏戻った方がえぇんちゃう?』 「そんなん気にせんでえぇ。俺が名前と喋りたいんやから」 な、何を言い出すんやこいつ/// 何気ない言葉にも反応し、心臓は早く動き出す。 『あほ!これでもあんた人気あるんやから…』 金造の背中を押して、舞台裏へ戻るように勧める。 自分で言うてて、なんか悲しなる。 ほんまのことを言うてるだけやのにな。 それに気づかれたのか、金造に頭をぐしゃぐしゃにされた。 「わかったわ。帰りは送るさかい、終わっても勝手に先帰んなよ」 『はいはい』 「ほな、また後でな」 ひらひらっと手を振り、金造は舞台裏に戻った。 金造とは、幼なじみっちゅーやつで、仲良いことは仲良いけど、それ以上でもそれ以下でもない関係。 金造があたしのことを女として見てるかどうかも、怪しいくらいやもん。 急にライトが落ちる。 そろそろ始まるんやろう。 バンドのメンバーが舞台に上がるごとに、黄色い声援がとぶ。 金造が舞台に上がると、他のメンバーとは比べもんにならんくらい歓声が上がった。 そして、歌い始めると同時に金造の歌に惹きつけられ、ライブハウス全体のテンションはピークに達した。 もちろん惹き込まれるんはあたしも一緒。 何回聞いても心に響く。 言葉では言い表せないような感情に駆られる。 特に今日は、どうしようもなく金造が好きなことを思い知らされた。 「今日は来てくれておーきに。こーやってここで歌えるんは、みんなのおかげや。ほんま感謝してんで」 金造の一言一言にお客さんは声を上げる。 某会社のコンサートみたいやわ。 「次でラストやけど…ラストに新曲披露さしてな」 さっきより増してライブハウスは盛り上がる。 「この曲は、俺がめっちゃ大切に想ってる人のこと考えて書いたんや。せやから、みんなもこれだけは静かに聞いて欲しい。ちゃんと聞いとけよ、名前!」 その瞬間、あたしにはもう金造しか見えていなかった。 周りの声も音も聞こえなくなって、この世界にはあたしと金造だけみたいな感覚に陥る。 金造の作った新曲は、恥ずかしいほどに想いが伝わってくるような歌だった。 愛の歌 「ちゃんと伝わったか?」 『…あほ///ファン減るぞ』 「俺はお前が居ったらそれでえぇんや」 『―――っ///』 「好きやで、名前」 アニメも見てないし、漫画も読んでないのに書く無謀さに自分で脱帽w 似てへんとか聞こえません← むしろ、似てたら奇跡ですよ。 ということで、金兄初夢でした。 志摩家ちょくちょく更新していくかも。 2011.11.14 |