「柔兄ー、誕生日おめっとーさん」
「これ、俺らからのプレゼントや」
「金造、廉造…」
「いつも柔兄には世話になっとるしな」
「そのお礼でもあんやで」

どっからそんな出任せが。
さすがアホ2人組や。

「お前ら…アホやアホや思っとったけど……ほんまおおきに」

あぁー、あかん。
見てられん。
そう思って、わたしは部屋を後にした。
そろそろ夕飯の準備せなあかんし。
わたしが台所についた時、柔造の叫び声と金造と廉造の楽しげな笑い声がこだました。


「なー名前。飯まだなん?」
『もうちょっとでできるさかい、大人しい待っとき』
「俺、腹減って死にそうや」
『そうかー。そこ、つまみ食いすな!!』
「あかんわ。金兄、気ぃ紛らわしに行こ」
『えぇんちゃう。散歩して帰って来たら食べれるようにしとくわ』
「よし、ほな廉造行くか」

うるさい2人が、散歩に出かけてくれて助かった。
あとは、柔造やな。
さっきから襖の向こうで、ちらちら見えとるし。
どうせ構って欲しくて、行ったり来たりしとんやろ。
気ぃついてへんて思っとんかな。


『…柔造』

ご飯の準備も、あとは机に並べるだけになったところで声をかけた。
気付かれとるとは思ってなかったらしく、大きい身体がびくっと動く。

『そないなとこ居らんと、こっち来ぃな』
「……いつから気づいとってん」
『はじめから』
「そうか…」

誕生日やのにちゃんと祝って貰えんかったんが、そんなに悲しかったんかな。
あれがあいつらの祝い方やし、しゃーない気もすんやけど。

『柔造、おいで』

両手を広げて呼び寄せる。
柔造はためらいも見せずに寄ってきた。
ちょっと拗ねたい気分なんやろか。
むすっとした顔で抱きついてくる。
なんや、かわえぇなー。
わたしも負けじと力いっぱい抱き留める。

『柔造、誕生日おめでと』
「名前…」
『せっかくの誕生日やねんから、拗ねてんと楽しまな。あの子らも楽しませようとして、したことやろし』

多分…な。

「名前好きや」
『ははは、いきなし照れるやんか』

恥ずかしいから笑ってごまかす。
だって、珍しいもん。
柔造から甘い言葉出てくるなんて。

「ほんまに好きなんや」
『…知っとるよ、そんなん』
「名前は?俺のこと好きか?」
『好きに決まっとるやろ』

その言葉を聞いて恥ずかしなったんか、自分顔をわたしの肩にうずめる。
自分で聞いといて照れんな、あほ…。
こっちが恥ずかしいやろ。

『柔造ー』

柔造が顔を上げた瞬間、わたしは背伸びをしてキスをした。

『誕生日プレゼント』

口を片手で覆い、顔を真っ赤にしてる姿は、愛おしくて、かいらしくてしゃーなかった。


愛を込めて
みんなでご飯を食べた後、各々ちゃんとしたプレゼントを渡したのだった。



久しぶりの青エクですな。
柔兄が可愛いすぎて、どうしようとか思いながら書き上げました。
柔兄誕生日おめでとー☆
これからも天然たらしでいてね←

2012.2.5



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