Sweet lie


あの日、俺は家に帰った後、大声をあげて泣いた
あんなに泣いたのは何年ぶりだろう
いつ君が居なくなってもおかしくないんだと考えるだけで、涙が止まらなかった
そして、最期まで一緒に居ることを誓ったんだ


最近君は学校を休んでいる
連絡もつかない
病気が悪化したのかと気が気でない
神様どうかお願いです
俺の大切な人を‥‥

「わっ!」

神頼みしていた俺に後ろから君が抱きつく


俺は振り返り君を抱きしめた

『学校休んでるし、連絡つかないし、心配しただろ』
「ごめんごめん。風邪引いてて」

腕の中で君は言う

「連絡できなかったのは、お風呂に携帯をぽちゃっと」

‥‥は?

「あとね‥‥病気のことなんだけどさ‥‥勘違いだった」

楽しそうに笑いながら俺を見て言う

『どういうことだよ。嘘ついたのかよ』
「嘘ついたんじゃないよ。病院の先生が違う人の写真見てたんだもん」

そんなベタな‥‥


俺は君の頬を引っ張りながら、そんなことを信じたのかと聞く

「はっへ、はらははるはっはひ、ふふうほはひろひろ‥‥」

君の言い分は、身体だるかったし、頭痛とかいろいろ‥‥だそうだ
『風邪だったからか』

そう言いながら、頬を引っ張る手を緩める

「うん。でも、ほんとに死ぬと思ってたんだってば」

呆れて何も言えない俺

『俺の涙の意味って』

聞こえないように呟いたつもりだったのに、聞こえてしまったみたいで‥‥

「え、泣いたの?」

おい、そんなに笑うことかよ
なんだかやるせない気持ち
病気じゃなくてよかったけど
よかったんだけど‥‥
ひとりで悶々としてる俺に君が近づく
そして、俺の頬に優しくキスをした
俺の思考若干停止

「ごめんね。ありがとう」

君はそう言って、恥ずかしそうに逃げて行く
そんな君を見て、やっぱり勘違いでよかったと心から思った


今までたくさん嘘をついてきた
自分の利益のために、君を守るために
時には君を傷つけてしまったけれど、君を想う気持ちは嘘じゃないよ
約束する
もう君には絶対嘘はつかない
見上げた空は雲ひとつない綺麗な青色だった

「ねぇ、大好きだよ」

君は笑顔で振り返り俺に言う

『はいはい』

俺は君の方に向かう

『行くぞ』

そう言って君の手をぎゅっと握り、歩き出す
君はそっと握り返してくれた
俺はにやけた顔を隠すように、少し前を歩く

『―――――…‥』

呟いた俺の声を風がタイミングよくかき消した

「何か言った?」
『何もねぇよ』

言ったそばから嘘つく俺
ごめん
でも、許してくれるよな?
これが最後の嘘だから―――

なぜか君は嬉しそうに、どこか恥ずかしそうに笑っていた



あとがき割愛w

2012.3.4



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