Sweet lie


いつもの公園のベンチに居た
ベンチの上には屋根がある
だから、君は濡れていない
いつもなら、笑ってずぶ濡れの俺を拭いてくれるのに、今日の君はこっちを向こうとしない
泣き顔を俺に隠しているのだろう
俺は抱きしめようと伸ばした手を引っ込める
何しようとしてんだろ
こんなときでも関係を気にしてしまう
大切な君が目の前で泣いているのに
俺にそんな勇気はない


結局、俺は君の頭をぽんぽんしながら、大丈夫としか言えなかった
何で泣いているのかもわからない
何が大丈夫なのかもわからない
自分に言い聞かせるように大丈夫と言い続けた
大丈夫じゃないのは俺だったのかもしれない


「どっか行っちゃやだよ‥‥」

泣きながら君が呟く
俺は意味がわからず聞き返す

「最期まで一緒にいたいよ‥‥」

さっきより君は激しく泣く
俺の手を握りながら

『え‥‥』

君はゆっくりと俺に話し始める
俺が告白されているところを見たこと
俺に好きな人が居るのを知って泣いていること
自分は病気だということ‥‥


今度こそ君を抱きしめた
強く強く‥‥
痛いよと言って笑う君
俺は真剣な声で君に言う
ずっと好きだったと
これからも一緒に居たいと
君は嬉しそうに泣いた
そして俺に言う

―――大好きだよ



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2012.3.4



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