―――助けて

僕は振り返って周りを見渡す
そこには誰も居ない
どこからか聞こえた君の声
心の叫び
誰だかわからない君を助ける義理はない
でも、思ったんだ
助けなくちゃと


僕はお人好しなのだろうか
気づいたときにはもう、君を探して走り回っていた
僕は君に問いかける
どこにいるんだと
さっきから君の返事は途絶えている
手がかりもなく走り回っていたが、その足が止まった
僕にも限界はある
ヒーローではないから
そんなに強くもないんだよ
君と何も変わらない
同じ弱い人間だ


ふと君の泣き声が聞こえた
僕はそれを手がかりに、動かない足を引きずりながら、声の方へと進んで行く
僕は叫ぶ
もう少しだから、僕を信じて待っててと


やっと君の居る場所を突き止めた
でもそこには、君の気持ちに縛られた君が居た
目の前に君が居て、泣いているのに助けてあげられない
僕の無力さに改めて気づかされる


とりあえず僕は、絡まっている君の気持ちを、一つずつ外していくことにした
僕にできることはこれしかない
必ず助けてみせるから


君の気持ちを慎重に外していく
それに触れる度、君の気持ちが一気に流れ込んでくる
辛かったこと、苦しかったこと、楽しかったこと、嬉しかったこと‥‥
知らぬ間に僕の頬を涙が濡らす


あと少しで君を助けられそうなのに、君はさっきよりも激しく泣く
僕はどうして泣くのかと問いかける

―――怖いんだ

僕は手を止めた
僕がしていることは、本当に助けることになるのだろうか
また君を傷つける場所に戻すだけじゃないのか
そんなことを考えている僕に泣き止んだ君が言う
今度は君が居てくれるから怖くはないと


再び僕は手を動かし始める
全て取り払った
僕は君に手を差し出す
君は僕の手をしっかり握る
その手は少し震えていた
僕は君を引き寄せ抱きしめる

―――もう大丈夫

君は涙を流しながら、嬉しそうに笑った
そんな君を見て僕はさっきよりも強く抱きしめる
そして、誓った
絶対君を独りにはしない


君だけのヒーロー
いつでも側にいるから。



超gdgdですねw

2012.3.4



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