『藍ちゃ…うぐっ』
「…何?」
『あ、えっと、ごめんなさい。見かけたので、つい声に出してしまいました』
「ふーん。ところで…誰だっけ?」
『名字名前です』
「翔の彼女…」
『そ、そんな覚え方ですか///』
「別に間違ってないでしょ」
『そうなんですけど…』
「何か文句ある?」
『いえ、全くありません。はい…』
「……はぁ、僕の顔に何かついてるの?」
『へ?特に…』
「じゃあ、そんなにじろじろ見ないでくれないかな?」
『すみません。15歳なのに背高くて、スタイルよくて、綺麗だなぁと思いまして』
「普通でしょ。アイドルには180センチを超えている人物も珍しくないし。スタイルだって…」
『そうかもですけど…。なんだかんだ言っても、翔ちゃん小さいので』
「まぁ、確かに翔は小さいよね」
『本人には言えませんけどね。すっごく怒られますし』
「靴と帽子で9センチも水増しして、ほんと涙ぐましい努力だけど、はっきり言って無駄だよね」
『そういうところが可愛いんですよ』
「そういうものなの?」
『はい。藍ちゃん先輩とは違うとこですかね』
「その言い方、僕は可愛くないみたいに聞こえるんだけど?」
『そういうつもりじゃ…』
「別に可愛いって言われたい訳じゃないから、勘違いしないでね」
『…ヤキモチですか?』
「そ、そんな訳ないでしょ」
『ははは。冗談ですよ、冗談。藍ちゃん先輩でも動揺するんですね』
「後輩のくせに先輩をからかわない方がいいよ」
「名前ー。何してんだよ。早く来いよ」
『うぁ、忘れてた。翔ちゃんちょっと待ってー』
「早く行きなよ。翔に勘違いされるのはごめんだから」
『はい。お喋りできて楽しかったです』
「それはどうも」
『あの…』
「何?」
『わたしは、藍ちゃん先輩も可愛いと思いますよ』
「―――っ!?///」
『でわ、また』
「……僕も…か…」


「藍ちゃん、嬉しそうな顔してますねぇ。何かあったんですか?」
「は?質問の意味がわからないんだけど。何もないし、那月には関係ないことだから」



2011.11.28



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