最近心臓がよく痛む。
俺は左胸を抑え、立ち止まった。
病状が悪化しているからなのか、名前への気持ちが大きくなっているからなのか…。
それはわからない。
ただ、名前への想いの強さが、日々増しているのは事実だ。

「翔くん?大丈夫?」
『あぁ、大丈夫だ』

名前に病気のことを話していない。
無駄な心配はさせたくなかった。
そんなことを言ったら、きっと怒るんだろうな…。
強がりだと言われれば、否定はできない。
でも、名前にはずっと笑っていて欲しかった。

「今日こそは絶対翔くんからボール奪って、ゴール決めてやる!」
『せいぜい頑張れよ』
「もぅー」

そう言って、頬を膨らます姿も可愛い。
名前の仕草は全て好きだ…というより名前の全てが好きだ。


『30対0』
「ちょっとくらい手加減してよ」
『ごめん、ごめん。つい…な』
「すきありっ!!」

完璧に気を抜いていた。
そのすきにボールを奪われる。とっさに反応したけど、間に合わずゴールを決められてしまった。

「やった、やったー!見た?見た?」
『おう』
「へへへー」

名前は満足げに俺の方にピースをする。
その笑顔が眩しくて、愛しくて…絶対守りたいと思った。
だから…。
俺は名前に近づき、そっと抱きしめる。
そして、意を決して口を開く。

『別れよう…』
「…え?」
『お前が…お前がずっと笑ってられるとこに行ったらいいんだよ』

そう…これが俺の出した答え。
俺と一緒に居たら、いつか必ず泣かせてしまう。
いつまで生きられるかわからない俺とこれからの未来がある名前。
そんな2人が一緒に居ちゃいけない。

「嫌…」
『実はさ、俺病気なんだよ。だから…』
「そんなこと関係ない」
『関係なくねぇよ。無理なんだよ…。横取りされる方が辛い…。ごめん』

そう告げて、俺はその場を立ち去った。


俺のわがままで別れを告げた。
名前の笑ってる顔を見れるだけでいい。
それで十分だ、と思ったから…。
例え俺の隣でじゃなかったとしても。
なのに、なんで…なんでこんなムカつくんだよ……。


わがまま
本当は翔くんが病気だってこと知ってたんだ。
それでも一緒に居たかったから、黙ってたの。
辛かったことに気づいてあげられなくてごめんね。
今までありがとう…。
翔くん、大好きだったよ。



書いてて胸が締め付けられた作品←
切ないの書きたくて書いたんですが、こんなにお涙頂戴作品になるとは思ってもおらずw
翔ちゃんの手術が成功したら、きっともう一度翔ちゃんから告白して、寄り戻すと思ってます。
てか、そうであって欲しいと願います。
閲覧ありがとうございました☆

2011.12.09




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