「名前ー」

無許可で部屋に乗り込んでくる、音也。
まあ、いつものことなんだけど。

「聞いて聞いてー」
『うん』
「さっきさー…」

音也の話は右から左へ流しつつ、私はゲームに集中する。
もちろん相槌はうってるよ?

「……」
『うん』
「…聞いてないでしょ」
『うん』
「名前っ!!」
『―っ!?』

急に大声を出され、びっくりして顔を上げる。

『何?』
「ちゃんと聞いてよ」

少し拗ねたように、頬を膨らましながら言う姿が可愛い。
いつもならテンション上がるんだけど、今いいとこなんだよね。

『ごめん』

平謝りして、またゲームに戻る。

「さっきから何してるの?」
『ゲーム』
「それは見ればわかるけど…」
『うん』
「…もーいい。名前のバカ」

それでも聞こうとしなかったわたしのせいで、音也は本当に拗ねてしまった。
キリもよかったし、さすがに可哀想だったので、セーブをしてゲームを止めた。
そして、横で拗ねている音也にちょっかいをかけてみる。
でも、やめろよというように手で払われてしまった。
わたしが悪いのはわかってるんだけど…。
ちょっと傷つく。

『…はぁ。じゃあいいや。翔にでも相手してもらいに行こ』

音也を横目で見ながら、わざと聞こえるように言って立ち上がる。
まだ拗ねているからか、無視されたので、そのまま部屋を出て行こうとする。

「やだ」

後ろの方から足音が聞こえたかと思うと、力強く抱きしめられた。

『知ってる』
「……」
『さっきはごめんね。何して遊ぶ?』

音也の方を向き、明るい口調で問いかける。

「キスして」
『…へ?』
「じゃないと許さない」
『仕方ないなあ』

拗ねさせてしまったのはわたしだから、音也の言うとおりにすることにしよう。
これ以上拗ねられたら困る。
音也に目を閉じるよう促し、頬にキスをした。

「え?」
『え?』
「そんなんじゃ足りない…」
『ん……』

そう言って唇を重ねられる。

「構ってくれなかった名前が悪い…」

音也が満足するまで、キスの雨が止むことはなかった。


君不足
今日はもう、絶対離してやらない。



甘えん坊の音也が書きたかっただけっていうw
ということで、音也初夢でした。
音也ってなぜか甘くなっちゃうんですよねー。
閲覧あリがとうございました。

2011.11.09



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