教室の前を通り過ぎようとした時、ある名前が聞こえて立ち止まる。
耳を澄ませてみると、それは名前の悪口だった。
俺はいてもたってもいられなくなり、教室に怒鳴り込む。

『誰だ。今名前の悪口言ってた奴』

そこに居たのは女子3人。
よく見ると見覚えのある顔。
確か、俺のファンクラブというものに所属していた奴…だったはず。

『お前らか』
「………」

3人は顔を見合わせている。
すると、1人が口を開いた。

「別に悪口言ってた訳じゃないけど?」
「そうそう。言いがかりだよ」
「本人だって気にしてないでしょ」

1人が口を開くと、周りも口を開き出す。

「強いみたいだし」

その言葉に俺は反応する。
あいつは全然強くなんかない。
強がるのが癖なだけで…。
本当は誰より弱いんだ。

『あいつのどこを見て強いなんて言ってんだよ。ふざけんな。何も知らねぇくせに』
「何よ。なんであの子のことばっかり」
「翔くんはみんなの翔くんでしょう?」
『なんだよ、それ。好きな奴の悪口言われて、黙ってられるかよ』
「…………」
「ひどい。この子、本気で翔くんのこと好きなのに…」
「どうしちゃったの?翔くんは誰にでも優しかったじゃない」

勝手なことばっかり。
こういうタイプの女は嫌いだ。

『どうもしてねぇ。俺様は俺様だ』
「…翔ちゃん?何してるの?」

急に背後から声が聞こえ、振り返ると名前が立っていた。

『何でもねぇよ。…次言ってみろ。絶対許さねぇからな。名前行くぞ』

そう言って、名前の手を取り、教室を後にする。
声をかける言葉が、何も思いつかず、無言のまま歩く。

「翔ちゃん」
『何でもねぇ』
「ありがと」
『お前…聞いて…』
「へへへ」

嬉しそうな、哀しそうな顔で名前は笑う。
俺は衝動的に名前を強く抱きしめた。

『心配すんな。何があっても俺が守ってやっから』
「でも…」
『お前は黙って守られてればいいんだよ』
「……うん…」

俺の肩に名前の涙が落ちた。


王子の決意
自分より大切なお前を、絶対に泣かせたりしない。



弱ってる時に書いたやつをうpですw
強い強い言われてる人でも、ほんまはそない強くないと思うんですよねー。
まぁ、そんなこんなで←これからもご贔屓にどうぞ♪

2011.11.19



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