『それでさー…』 毎朝名前の席に座って、その後ろの席のトキヤと雑談する。 それが俺の日課だ。 わざわざ名前の席に座る必要はない。 でも、名前と会話をする為だから、止める訳にはいかないのだ。 今日も教室のドアが見えるように座って、トキヤと話していた。 …いつもなら来てる時間なのに、今日はまだ来ていない。 珍しく寝坊でもしたのか? そんなことを考えながら、トキヤと話して数分後、勢いよくドアが開いた。 走って来たのか、息があがっている。 「おはようございます」 「…っはぁ。おはよー」 『お、おは…』 「走って来たのですか?」 「うん」 挨拶をしようとしていたところを、遮られる。 トキヤの奴…。 「翔ちゃん」 トキヤに向けて殺気を放っていると急に声をかけられ、我に返る。 「どいて」 …え? 今日会って一言目がそれかよ。 ちょっと…いや、かなりへこむ。 だから、少しいじめてやることにした。 『嫌だ』 「えー、どいてよー」 それでも、名前はどけと言う。 俺も負けじと拒否する。 「もー、翔ちゃんのバカ」 そう言って、俺の頬を引っ張る。 『いてぇよ』と言いつつも、名前に触れられたことに嬉しさを感じ、ドキドキする。 あ、別にMとかじゃねぇぞ。 そして、名前は「もういい」と言って手を離し、横向きに座っていた俺の上に腰をおろした。 『えっ、ちょっ…』 いきなりの事態に焦る。 自分でもわかるくらい顔が熱い。 でも、そんなことは気にもせず、自分の鞄からレポート用紙を取り出す。 「翔ちゃんが悪いんだよ。今日提出のレポート仕上げないといけないのに」 『いや、でも…』 「ちょっと黙ってて。今必死なんだから!!」 名前はそのまま集中してレポートに取り組む。 名前のレポートが終わるまで、俺は何もすることができなかった。 a faint love 無意識な君の誘惑 ほんま翔ちゃんかいらしいわー。 でも、自分が乗ったら翔ちゃんに重いとか言われそうw さすがに翔ちゃんよリは軽いですけどね← ちなみに題名は淡い恋って意味です。 2011.11.16 |