大好きだよ馬鹿だから



けらけらと甲高い笑い声が頭に響く

それと同時に、私の頭痛も酷くなる


ああ、変わらない日々だ



「梁歌っ、おはよう!」

「やあ乙女子ちゃん。おはよう」



平凡で普通で街を歩いても誰も振り向かないという設定が私

異常で醜悪で全てを振り向かせようと馬鹿な事する設定が女


全く真逆で全部正反対

そして、それでいいのだ



「さっきいつもの奴らが呼んでいたよ」

「本当?ありがとう。あとで行くんだけど………」

「んー?」

「その、相談に乗ってくれないかな?」

「お安いごようだよ。何かな?ずばり、恋だろう?そうだろう?」

「うん。あのね、好きな子がいるんだよ」



知っている、分かっている、理解してる、認可してる

でも、その恋は叶わない

それは覆せない

それが天命であってそれは天命だから



「誰かな?ずばり、石田だろう?そうだろう?」

「えっ、知ってるの?」

「知らない知らない。私はなーんにも知りませんよ?」

「あ、でね。その石田君と、その、仲良くなりたくてね、」

「無理」



即答とかって話を区切ってみる

だって叶わなくて希望がない恋のお手伝いなんて真っ平ごめんだよ



「石田との仲を取り繕ってほしいんでしょ?やだよ。私、石田嫌いだもん」

「で、でも……………」

「あんなのより伊達とかのがいーじゃん。まだ、マシ」

「あ、あたしは石田君がいいのっ」

「へーほー。ガンバっ」



それだけ捨て台詞を残し、私は席を立つ

女は苦虫を潰したような顔をし、彼らの下へ向かった


そして、私は殴られた

え、りふじーん



「いったーい。女の子の顔殴るとかマジ最低。別れちゃう」

「知るか。貴様が九割方悪い」

「あとの一割は君?顔のこと?」

「貴様が奴と話ているのを止めなかったことだ」

「うっわ私の顔は無視とかサイテー」



うだーと石田の机にごろーんとしながらはにかむ

しれっとした顔で石田は私の顔を眺めてる

いやんえっち



「えっち。何見てんの」

「変態。何考えてるんだ」

「石田酷い。別れちゃう」

「そしたら殺してでも引き止める」

「それ引き止めてない。ヤンデレっていうの」

「知るか」



物事を知らないお坊ちゃんはこれだから

じいやに甘やかされて育ったんですねー

凡人には理解出来ませーん



「いいか」



むにょーんと私の頬を引っ張りながらの命令

えーこのシーンを頬引っ張りながらやるー?



「二度と奴と喋るな。貴様が穢れる」

「いやんヤンデレ」

「それで結構だ。貴様を汚していいのは私だけだ」

「いやん男前」

「次破ったら学校に来させない」

「守る。私偉いから守る」



マジニートとか勘弁

いつも家で石田と過ごすとかいやんあはんな展開じゃんか

勘弁マジ勘弁



「でもね石田」

「なんだ」

「私、あいつのこと好きだよ。もしかしたら、石田より大好きかも」



そう言えば、怒りを含めた目で私を睨む


ある意味、石田より好き

だって、



「だって、馬鹿なんだもん」



だから、構ってあげてるんだ

そうじゃなかったら、とっくに突き放してるよ


あんなクズに等しいミーハー女さ



(天女さん(笑)提出)