エンドレス act2



*前回の家三バージョン
*注意事項は前回と同じ


最愛の人が出来た

だがそれは女ではなく男だった

女のように肌は白く
女以下に身体は細く

すぐにでも壊れそうな人だった



「………なにくっついている」

「いや………こうさせてくれ」

「ふん…………」



嫌なんだろう?分かっているさ

でも拒絶しないお前が何よりも愛おしい



「家康………」

「んー?」

「独眼竜が言っていた。自分は女に生まれたかったと。そうすれば好きな人の子を孕めると。私はそれに、酷く同感した」




男と男では子は出来ない

そんなこと、幼き童でも知っている


独眼竜も、自分が男であることを悔いた

真田との子ができないから


三成も、自分が男であることを悔いた

ワシとの子ができないから




「家康。神とは実に、不愉快だな。不愉快で不平等で不公平で不可解で不思議だ」

「そうだな」

「伊達は、真田が来世ではどちらかが女になると言っていたらしい」

「神は気紛れだからなぁ。どうだか」

「出来得るならば、私も女となり、貴様とともにいたい」




それができれば、どんなに幸せだろうか












神は三成の言うとおり、不公平だった


「……す、………い…や………家康!」

「あ………すまない。なんだ、元親」

「お前大丈夫か?顔真っ青だぞ」

「いや…………」

「………なんかあったら言えよ?」

「ああ。ありがとう」



現代でも平成でも現在でも

表現をどれにしようが同じ内容だ


携帯を取り出し、メール画面を開く

一ヶ月前届いた三成からのメール

最期に送られたメール


「剣道部は終わった。柔道部も終わりだろう?昇降口で待ってる」


でも、だが、昇降口に三成はいなかった

理由は簡単

三成は、いないのだから


生徒同士の悪ふざけで三成はそれに巻き込まれた

廊下を歩いていた三成に生徒が悪戯心で身体を押した

近場にあったガラスに三成は激突し、死んだ


どれだけそいつらが憎かったか

前世で男であるが故に子を生めないと悔やんだ三成が、女になったというのに

今度こそ争いもなく共にいられると思ったのに


ああ、やはり神は、大嫌いだ



「家康」

「……独眼竜?」



伊達政宗

彼も前世男であるがゆえ、苦悩した

今は女であるが、恋人の真田を三年前亡くし、今は一人身



「どうした。お前がワシのもとに来るなんて珍しいな」

「いや………。石田………」

「………お前が気に病む必要などないさ。仲は悪かったが、お前は何もしてない」

「俺も…………お前も……何故こんなにも不幸になるんだろうな」



答えは明白だ



「神が、ワシらのことが嫌いだからさ」



死して、お前のもとへ逝きたい

成り立ちはしない方程式を解くことは不可能だ

だから、



「独眼竜、真田のもとへ逝こうとは思わないのか?」

「逝ったら怒られるからな」

「そうか。だがな、成り立たない方程式を解くことは如何な天才でも不可能だ」



だからワシは、



「不可能であれば、ワシは可能にする」



お前のもとへ逝く



「さよならだ、独眼竜」

「いえや、す………」

「ワシは、“彼女”のいない今を生きることは、出来ない」



一人は、嫌いだ