リンネ



*初音ミク「リンネ」パロ
*佐助視点


君がポツリと呟いた


『佐助、危ないからもうちょっと下がって』


子供じゃあるまいし、そこまで面倒見なくていい

そう言ったら梁歌はムッとした顔で


『じゃあ、白線より前出て轢かれちゃえば?直ぐ、死んじゃうよ』


そういった

その直後、何故か梁歌はカッターで手首を切った
赤い血が地に落ちる

赤く染まった手首を抑える


『私、佐助の為に生きられなかったら、ただの―…………』


手首に唇を付け、軽く血を啜る

俺と同じ駅に行く筈なのに、君は先に別の電車に乗った



ねぇ、笑んでよ
また、俺を心配してよ

梁歌の姿がどこにも無いよ

教えてよ、梁歌
君は、どこにいるの?

『佐助、佐助。ねぇ、佐助』

声が聞こえたような気がした



枯れたような声で誰かが言った

「佐助は、感情の無い可哀想な人だね。心も憂いて。かぁいそう」

そんなこと、知ってるよ


道路脇に落ちている蝉の亡骸を見て思った

俺はいつ、この蝉のように朽ちることが出来るのか、と


切れた電線、その下には感電死したと思われる幼子の死体
見つけたからと言って、埋葬する気も、誰かを呼ぶ気も起きず

イラついた。思ったと言えば、それぐらいだ

だから、八つ当たりで立入禁止の看板を蹴った

折れた看板の片方は、死体の上に落ちた
拾ってやろうとも思わない


そんな静寂の中、泣き声が聞こえた

『さ………すけぇ……。佐助ぇ……』

愛しい人の、すすり泣く声が




『分かんない……見えない……。分からないよ、佐助!!!』

見えない、分からない。そう言って泣く、嘆く、ワラウ
在りもしない俺の思いを探してる

『教えて、佐助。貴方の思い、今はどこ?』

じゃあ、君の居場所はどこ?




消える、消える環状線

ここにはいない、ここに、梁歌はいない

学校、家、友達の家、公園

どこにもいない


烏は言った、烏は逝った

「あの子はきっともういないよ。だって、君が捨てたんじゃないか」



またどうか、どうか、愛を
消え入る君の愛が、愛情が欲しくて

『ばいばい、佐助。あの日私は――…………』



“いなくなったよ”

確かに、「誰か」がそう言った



絶えず思う、何故あの時あんなこと言わなければ、こんなことにならなかった
触れ落ちた命は、取り戻すことも取り返すことも出来ず


「っ………梁歌―――――!!!!」


『一人哀れに、生きてね』


嘲笑う、君がいる



くるくる
廻る
環状線を