よく美術の時間に、聞こえる台詞がある

「色を目立たなくしたいから、白色を頂戴」


私は、それを聞くといつも思う


「白色」は色があるのだ

だが、「透明」に色はない


白という色はこの世に存在する

でも、透明という単語はあっても色はない


徳川家康という存在はいても

薄色つづりという存在はない



「薄色、一緒に描き合いっこしよう」

『………なんで、そうも私に構うのです?好奇?興味?善意?好意?悪意?』

「好意、かなぁ。ワシはお前が好きだからな」

『っ………仮にそうだったとしても、それは叶いません』

「仮じゃない。真だ。それに、叶わなくとも、ワシはお前以外を好く気はない。ワシは、お前がいい」



手に持っていたHBの鉛筆を落とす

静寂の中にカランと質素な音が木霊した



『………馬鹿ですね。貴方もいつか、私を忘れるというのに』



他の方々のように



「忘れないさ。ワシはお前と卒業までずっと側にいる。絵も描く。写真も撮る。思い出も創る」

『……もう、勝手にしてください』



本当に貴方が、忘れなければ私は、



無き
(ごめん、なさい)