私は色の薄い、存在感のない少女 彼は色の濃い、存在感のある少年 私は努力し、己の目標を恋を実らせる人を応援してあげたい でもそれは、裏を返せば、努力する人間を卑下する人は殺したい だから、私は私が大嫌い だって、彼――――――徳川家康君の恋を実らせてあげられないから 「おー薄色。偶然だな。一緒に行かないか?」 『……………お気遣いは無用です。私と話すと、貴方が好奇の目で見られますよ』 「別に構わないさ。ワシはお前といれればそれでいい」 「ふん、やはり頭が湧いたか。幽霊でも見えるのか、貴様は」 「あ、いやだからな?ここには、」 「薄色つづりだったか。生憎、私はそんな女生徒知らない」 別に、傷付きなどはしない 慣れっこだし、不都合なんてないから いや、不都合は、あった 一度だけ、たった一度だけ 好きだった人に、存在を知られなかったことが 映し色 (映されることのない色) |