ぴくりと肩が動いた

誰かが、幾重にも重ねられた襖を開け、この座敷に来ようとする音が聞こえた

荒々しい足音は、きっと三成だ

でも一つしかない

元就の足音はしない



「名前様」

『三成、元就は?来るって言ったのに、来ないの。ねえ何で?』

「名前様、落ち着きください。毛利は東軍に行っています」

『とうぐん…………?やだ、やだぁ!なんで?雅様が元就を………?』



雅様とは東軍に突然現れた天女様のことだ

男が大好きで、顔のいい人を見ると東軍にいれたがる人

故に、三成と元就も誘われたが、あっさりと断った



「違います。敵状視察をしているんです」

『でも、でもね。三成もこの間私からいなくなった。怖くて、朝起きたら、足が動かなくて』



つい先日だ

三成がいなかった日、私は足の腱を斬られ、二度と歩めぬ者と化した



「ああ、大丈夫ですよ。たとえ名前様の足が動かなくとも、私は必ずお側におります」

『本当に?』

「はい」

『じゃあ、雅様殺して?だっていつも三成と元就を私から奪うの。私、一人になっちゃうよぉ…………』

「…………分かりました。名前様はここで………」

『やだ。私も行く。だって元就が死んじゃうかもしれない………』

「………今回だけですよ」














「あら、名前様に三成じゃない。どうしたの?」

「貴様に用があって来ただけだ」

「すぐに済むかしら?」

「貴様のような者のために、名前様の時間を割くわけにはいかん」



ゆっくりと背から私を下ろし、いつの間にかいた元就が私を受け止める

ああ、生きてた



『元就……元就!』

「我は名前から離れはせん。いらぬ心配をかけたようだな」

『ううん。あのね、私ね、三成にお願いしたの』

「ほう?」

『雅様を殺して、って』



突如、元就の整った顔に血が飛んだ

私の首にも、どろりとした液体がかかった



「野蛮人め。見よ石田。名前の首と我の顔にかかったぞ」

「貴様は知らんが名前様には悪いことをした」

『三成真っ赤。綺麗だね』

「そうですね」

「名前、触ってはいかん。汚れる」



三成の顔に付いた赤を拭おうとしたら、元就に止められてしまった

でも三成は血よりも赤い狂気を纏って、こう言った



「ああ、しかし。名前様はもう、穢れを知っていましたね」

『んー?』

「名前様、ご存知ですか?貴方を歩めぬ者にした者にはちゃんと意味があったのです」

「外は穢れしかない。だから外に出ないために歩めぬようにした。あそこにいれば、我と石田以外、来はしないだろう?」

『元就?』

「まだ分からぬか?その足は、我が企て、石田がしたのだ」



だって三成は犯人は捕まえたって

元就も犯人は死んだって



「さ、戻りましょうか。私は名前様の我侭を聞いた。だから次は名前様が私の我侭を聞く番です」

「二度と、城から出てはならぬぞ、名前」



私は、震えながら静かに頷くしか出来なかった



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ヤンデレより狂愛になってしまった
もう何がなんだか
ダブルナリ様が大好きです
以下返信です













返信!
刀華様のstkが私の力にもなります←
わ、私の書いたものでチャージ出来るならいくらでも書きます!
リフレインシリーズお読みいただいて嬉しいです。
リクエストありがとうございました!





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