好きでもない女をわざわざ好き、手に入れようとした女

俺はそいつのためならなんだってするつもりだった


綾を殺せといえば躊躇いもなく殺すし

永遠と側にいてほしいといえばいるし


なのにそれさえも叶わぬまま、あいつは俺の前から消えた

愛情など無意味だというのか

思いなど無慈悲だというのか


そして何故お前が、俺の隣で笑っているんだ



「………………政宗、様?」

「Ah?」

「如何なさいました?何か悩みがあればこの綾にお話ください。私は貴方の、」



妻なのですから


その言葉に俺は吐き気と寒気を覚えた

どうしてこんな奴を正室に挙げたんだ

俺の妻は、あいつただ一人だ



「No,thank you.少しあいつのこと考えてただけだ」

「あいつ………といいますと、あの愚かなる元正室ですか?何故今更。貴方が愛しているのは綾だけだと、そう仰ったのに」

「なあ、綾」



愚かなのはお前だ

愚者であるのはお前だ

下等であるのはお前だ



「俺が愛してんのは、テメェじゃねぇ」

「…………え?」

「俺が愛してんのはただ一人」



この世の何よりも美しく気高い名前だけだ



「っ…………ですが、貴方があの女を捨てたのですよ。何を今更未練がましく………」

「未練がましく?違う。俺はあいつを振り向かせるために、お前を利用したにすぎねぇ。お前はただの、」



お飾りだ


俺の隣で笑うのはあいつだけ

俺の隣で泣くのもあいつだけ

俺の隣で叫ぶのもあいつだけ


綾は、もういらない



「だけど誤算だった。お前を利用してもあいつは手に入らなかった。それは俺が愚かだったからだ」

「……………………………」

「ああ、あと一つ教えとくぜ」

「…………なんですか」

「お飾りであるお前がいつまでも俺の隣で笑っているなんて、気味が悪い」



ずぶりと重たげな音をたてて綾の腹に食い込む短刀

綾は苦しげに声を上げ、血を流す



「俺が愛してんのは、名前だけだ」



――――――――――――――――――
今回も色々やらかしちゃった筆頭
綾の方の心情が書けなかった……!
筆頭のことは心底愛してましたよ、きっと
以下返信です














返信!
十万筆頭ありがとうございます!
リフレインシリーズは思いの他人気で書いた本人が一番驚いてます。
このシリーズでは多分政宗様のヤンデレ度がアップするでしょう。
リクエストありがとうございました!





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