「凪政様」



背後からの声に従い、振り返るといたのは

捨てたはずの、従者



『小十郎。何のようだ?』

「先ほどのアカネへの苦言、何のつもりかと思い。聞きに参りました」

『苦言?あれが?馬鹿言うんじゃねぇよ、小十郎。あれはただの注意だぜ?』

「凪政様が出て行った直後、アカネが私のところへ来て」




“小十郎せんぱぁい。私、伊達さんの言葉が、胸を抉るように、痛くて痛くて……。お願いです。伊達さんに聞いてください。なんで、あんなこと言ったのか”




『……で、それを聞きに来たわけか』

「はい。教えて下さい」

『…………お前が私の世話役だったこと嬉しく思うぜ』

「……え?」

『そうだろ?お前みたいな馬鹿(クズ)、簡単に切り捨てられる』




こんな堕落して、何にも出来ないやつ、いらない

私に世話役なんて、必要ない


私は、過負荷(マイナス)だ


一人で生きていけるんだ




『二年十三組片倉小十郎。私は、お前を捨てる。故に、お前はいらない』

「っ!?」

『じゃーな。異常(アブノーマル)さん』




私は、お前なんていらない




『親父に言っとくぜ。片倉は、伊達に刃向かったってな』

「お、お待ちください!凪政さ――――――」




グヂュッ



「な――――」

『私はお前の主じゃねーよ』



小十郎の腹部から手を離す


溶けたようにぐちゃぐちゃな腹部

怒江の「荒廃した腐花(ラフラフレシア)」


ここに、怒江はいない




『改めてじゃーな。片倉先輩。お相手は、見知らぬ梅香(コピーマジシャン)の伊達凪政でした☆その傷は球磨川にでも治して(もどして)もらいな』




からからと笑い、地に伏せっている小十郎を見下す

辛うじて開いている目で、私を睨む


手を可愛らしく振り、笑った




(役立たずなんて)
(私がやっつけちゃうよ)