「姉貴テメェエエエエ!!!!」

『朝から騒々しいんじゃクソ餓鬼がァアアアア!!!ぶっ殺されてぇのか、アァ!!?』

「はい、すんませんしたァアアア!!!」

『まったく。父上も母上もこんな騒々しくなかったというのに。誰に似たのか』

「モロ姉貴だっつーの。暴力お……イダダダダ!!!」



頭をぎりぎりとさながらゴリラの握力で掴む白名

ゴリ………白名にあんなことされては流石の小十郎も成す術がない



「出る!なんか中身出る!」

『出ても大して変わりゃしねーよ』

「テメッ………ゴリラみたいな握力しやがって……ギャァアアアアッ!!!!」







暫くお待ちください







「honey、今小十郎のすんげー断末魔が聞こえたんだが……」

『まあ、それはきっと気のせいですわ、政宗様』

「いや思いっきり足元に小十郎(らしき物体)が転がって……」

『これは小十郎そっくりの何かでございます』

「どんだけ分かりやすい嘘吐いてんだよ!さてはちょっと馬鹿だろ、honey!」

『政宗様、腹を裂かれて死ぬのと、喉を裂かれて死ぬのどちらが好みです?』

「すいませんしたァアアアア!!!!」



国主にまで土下座をさせる白名

最近では女中や兵士の間で、「白名様は鬼に育てられた」と言われ始めた

あながち間違いではない

鬼そのもののように恐ろしく怪力で、ときに優しい彼女は




『政宗様、私は少し遊郭へと赴いてきます』

「what!?嫌だ!」

『童ですかあなたは!』

「俺の嫁を遊郭なんかで働かせて野郎なんかに触らせるかァアアア!!!!」

『行き過ぎですわ!?違いますし!小十郎に相応しい女子を探すのです!』

「なんだそんなことか。俺もい………」

『政宗様、貴方は私を置いて他の女子と……』




よよよ、と泣き真似をしながら、薙刀を構える

その姿に政宗は背筋に汗がだらだらと伝った




「嘘です!政務に励みます!」

『まあ!政宗様ってば!では……』




床で死にかけている(ほぼ死んでいる)小十郎の腹に蹴りを一発

げはっ、と呻き声を上げ、小十郎は目を覚ました




『起きろクソが。いいか、どっかの馬鹿国主が逃げ出さねーよに見張っとけよ?』

「起きて早々クソ!?お前俺のこと嫌いなのか!?」

『愛故にー、です。話を戻すけど、政宗様を逃がしたら………』

「逃がしたら?」

『テメェの首が川からどんぶらこっこ流れると思え』

「絶対逃がしません!」




片倉白名、今日も毒舌家です