三成視点


刃と鉄が交わっていた

耳に残るような音が辺りに響いている


白名と伊達政宗が、愉しむように戦っている



『ああ………ほら、私を殺してごらんなさい……!』

「Ha……!上等じゃねぇか…!」



その姿が、無償に腹が立った


嫌っている伊達政宗と何故そんなにも愉しそうにいられる

貴様の愛しているのは、半兵衛様ではないのか


そう問いただしたかった



「見入ってしまうか、三成」

「いえ………やすぅ……!!」

「今争う気はない。あの二人は正反対のようで、同じなのかもな」

「なに……?」

「半兵衛殿を愛する白名殿と白名殿を愛する独眼竜」

「世迷言をほざくな。奴は半兵衛様の妻だ。奴の下へ戻ることなどない」




今もなお戦う二人を見ると、同じようにも見えた

正反対のようで、同じ

人を愛することに、相違はない

それは、私が奴を、白名を愛することも同じというのか




「ならば答えろ、家康。私が白名を愛したとしても、私は奴等と同じというのか」

「………さあな……それは、自分で答えを出すんじゃないか?」

「…………そうか………」




半兵衛様の妻でありながら、奴を好いてしまった私の罪

伊達政宗の妻でありながら、裏切って豊臣に来た奴の罪


私もまた、白名と同じなのかもしれない




『伊達政宗ぇ……!』

「白名……テメェは……」

『言うな………貴様の嘆きなど……聞きたくもない…!』




愛されていると思ったのに、裏切られた

信じてもいいと思ったのに、裏切られた


やはり私は、奴と同じなのだ




「家康……最後に一つ問う」

「なんだ?」

「白名が、伊達政宗を殺すことは出来るのか?」

「きっと……無理だろうな」




だって独眼竜は白名殿が初めて好いた人なのだから


果たしてそれは本当なのか


家康の言う通り白名は伊達政宗を殺せないのか

独眼竜は白名の初めて好いた人なのか


知っているのは白名のみ


手をどれだけ伸ばそうと、届かぬもどかしさ




白名、貴様は覚えているのか

私と貴様の、出会いを