血が頬を伝い、地に落ちた

それは私の血ではなく、他人の血だった


私は、関ヶ原にいた


伊達政宗と徳川家康


そして、幾途白名



私は、半兵衛殿を救いたかった

私は、豊臣にいたいと思った

私は、初めて何かを守りたいと思った



結果、私は伊達政宗を殺めることにした



多対一

そんなもの、何の比喩にもならない

一人の人間に対しての、戦

否、戦などではない

これは、殺し合いだ


伊達政宗と幾途白名の殺し合いだ


血生臭い殺し合いだ














―伊達政宗視点―


「白名殿が………一人でここに……!?」

「はっ。幾途白名と見られる白髪の女が一人でこの関ヶ原に……」

「何故…………白名が………」



こうもあいつは、俺を楽しませてくれる

一人で女が戦場に来るなんて、自殺行為だ



「Ha!面白ェじゃねぇか」

「独眼竜!笑い事ではない!どうにかして、彼女を止めなくては………」

「その必要はない。俺が、ケリをつける」



ニッと笑い、俺は陣を出た















白名は、白い髪を紅色に染め、紅い着物を赤黒く変色させながら戦っていた

その姿は修羅を思わせた


戦うことを生き様とする修羅に


鉄扇を振り回り、命を散らせる



「幾途白名………テメェ、何のつもりだ」

『片倉殿。意味などありません。ただ、貴方の主人を殺そうとしてるだけですわ』



小十郎はその言葉を聞き、刀を構えた

俺はそれを止め、血塗れの白名の手首を掴んだ



「痣」

『ええ。貴方のせいで付いたんですの』

「そうか。そりゃよかった。俺のモンって所有印が付いたじゃねぇか」



赤黒い斑点の浮かび上がる、痛々しい手首

好戦的な目を俺に向け、手を振り払う



『最期といたしましょう。恨み辛みはなしで、殺し合いといこうではないですか』

「俺がテメェを殺したら、テメェは俺のものになるか?」

『知りませんわ、そんなこと』

「ああ―――――」



俺は刀を抜き、刃先を向ける



「――――――そうだな」



そして、それは、