『政宗様、少しよろしいでしょうか?』

「Ha?」



それは、月が真上に昇った宵のことだった

Honeyこと小十郎の姉、白名が俺の部屋を尋ねたのは


宵に男の部屋に女が一人訪れる……?


そうか、分かったぞ、Honey



「俺と子作りに励もうってことか!」

『掠りすらしていませんよ』

「んだよ、違ェのかよ」

『小十郎のことなのですが………』




小十郎は俺が小さいときから傍にいてくれた信頼のおける奴だ

そいつのことなら、俺も役に立ちたいと思う




『小十郎も齢29。なのに未だ独り身。このままでは片倉は愚か、政宗様のお顔にも泥を塗る羽目に……!』

「……あいつ、老けたな」

『小十郎が老けたということは私はもっと老けていると?』

「No!!そんなつもりねぇ!」




そんなやりとりを行っていたとき、障子が音をたてた



「政宗様、よろしいでしょうか?」

「ok。入れ」

「失礼いたしま………」



障子を開け、入ろうとした瞬間

小十郎の身体がピシリと固まった



「あ、姉貴!?なんでここに!?」

『あら私は政宗様の妻よ』



というか小十郎、宵に男の部屋尋ねんなよ

お前アレか

俺とあっはんなことする気だったのか!




「……政宗様、尋ねたいことの前に一つよろしいか?」

「Ah?」

「何故姉貴を正室の挙げたのですか!?」

『小十郎、貴方殺されたいの?』




白名は美人だし優しいし、料理上手だし

男だったらこういう奴正室にしたくなるだろ(小十郎含まず)




「そりゃ白名は美人だしよぉ」

『政宗様ぁ…!』

「Honey!」

『政宗様、白名は政宗様以外を愛しません!』




駄目だこりゃ、と小十郎は思った

この馬鹿主人と馬鹿姉貴は色々終わってる




「で、小十郎。本題はなんだ?」

「あ、はい。その、どうやったら………女を娶ることが出来るのかと………」

「ぶはっ!」




口内に溜まっていた唾液を吐き出す

え、娶る?はい?




『こ、小十郎………』

「あ?」

『この姉がお手伝いしましょう!』

「あ!?」

『貴方から女子を娶りたいだなんて言葉聞けると思いませんでした!』




あ、白名が暴走した

こんな奴でも、弟思いだからなぁ




『小十郎!この姉に任せなさい!全国各地から良い女子を集めましょう!』

「姉貴!?」




かくして、『小十郎妻を娶ろう☆大作戦』が始まった